<オリックス4-1ソフトバンク>◇1日◇京セラドーム大阪

 がけっぷちで浜ちゃんが踏ん張った。オリックス浜中治が6月7日広島戦(広島)以来、24打席ぶりの復活アーチをかけた。6回、杉内のチェンジアップを左手1本で左翼5階席まで飛ばした。「監督が辛抱して使ってくれてたんで何とか打ちたかった」。初回ローズの先制3ラン以降、無得点が続いていた試合を動かす7号ソロ。そして浜中自身、降格危機をはね返した意地の1発だった。

 この日まで打率2割1分9厘、6本塁打、21打点。阪神からの移籍で中軸を期待されたが不振の泥沼に陥り、5月末からはほとんど代打要員に甘んじていた。そして大石監督代行は、過去11打数5安打と相性のいい左腕杉内との対戦内容次第で2軍降格を決断。まさにラストチャンスだった。

 「使ってもらっても打てない悔しさや、もどかしさがあった」。居残りでは阪神でのスランプ時に行ったロングティーや、左足を大きく上げるタイミング矯正に取り組んだ。「久しぶりに見ましたよ」。自宅では打率3割2厘、20本塁打、75打点の自己最高成績を残した06年のDVDを見て、必死に出口を探してきた。

 4回には12日打席ぶり安打を左前へ運ぶなど、24日ぶりマルチ安打も記録。もちろん大石代行は「これを足がかりに打ち出してくれたら」と笑顔で1軍残留切符を渡した。【松井清員】