<広島3-2中日>◇9日◇広島

 落合竜が広島にサヨナラ負けして、77試合目で自力Vが消滅した。中田、朝倉ら故障者続出で投手陣が崩壊し、ここ数試合は打線も沈黙。今季2度目の4連敗の泥沼だ。雨天中止で試合のなかった阪神のクライマックスシリーズ(CS)進出マジックは「55」のまま。一方、広島は10度目の挑戦で5割に到達した。セ・リーグで首位阪神以外に自力Vの可能性を残すチームは、阪神との対戦を多く残している広島だけになった。

 サヨナラ負けで今季2度目の4連敗。首位阪神とのゲーム差は13に広がった。04年の落合政権発足以来、最速の77試合目で自力優勝の可能性が消えた。

 「いいんじゃない?

 それが現実だもん」。中日落合博満監督(54)は寂しい現実を淡々と受け入れた。4回までに2点を先制した。1点差とされた4回裏には2番手長峰を投入し、そこから継投で耐え続けた。だが、5回以降は打線が無安打と沈黙。8回に追いつかれると力尽きるように敗れた。

 ポイントとなった8回、吉見が2死三塁のピンチを招くと嶋の打球は一、二塁間へ。一塁ウッズは一瞬、捕球するそぶりを見せてベースへ戻った。だが、全速力で追いついた二塁荒木は打球をグラブからこぼした。無情にも記録は痛恨のタイムリー失策となった。

 広島に完封負けした前夜、落合監督は今季初の緊急全員ミーティングを招集した。ホテルの3階に全員がそろうと指揮官は冷静に、鋭く言った。「この中で優勝できないと思っているやつはいないだろうな?」。場の空気がピンと張りつめた。チームの目標を再確認した上で今後の戦いに話を向けた。「慢心するな」。昨季日本一のチームに原点回帰を求めた。

 それでも勝てなかった。試合後、荒木は何を聞かれても無言。小林は「不運?

 そうじゃないです。次、頑張ります」と声をしぼり出した。最後に落合監督が言った。「こいつら初めてか?

 こんなに苦しんでいるのは。打つときは打って守るときは守って。頭の中を整理しないとな」。きょう広島に敗れればBクラス4位転落の危機だ。【鈴木忠平】