<ソフトバンク8-6オリックス>◇21日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク先発杉内俊哉投手(27)が「隔年投手」の汚名返上へ、マジックを1とした。3連勝中と波に乗っていたオリックス打線を相手に、3者凡退はわずか2度。8回8安打、四球も3試合ぶりに2個を記録するなど、本調子とはほど遠い状態にもかかわらず、失点は2回の1点のみ。粘投で自身初の2年連続2ケタ勝利まであと1と迫る、チームトップの9勝目をマークした。「隔年、隔年てみんなが言うからさ。早く(10勝に)乗せたいよ」。普段はおとなしい性格の男が自虐ネタにするほど、この日の1勝を心の底から喜んだ。

 常に走者を背負う内容でも、頭の中は冷静だった。「勝負どころで内の球を間違えなければ(制球ミスしなければ)簡単には打たれない」。5点差とした直後の6回。安打と四球で1死一、二塁のピンチを背負ったが、6番相川を内角スライダーで二併殺打。相手の反撃ムードを完ぺきに断つ投球術に、沢村賞を獲得した経歴を持つ男の頭脳が垣間見えた。

 「とにかく今日は勝つことを考えて投げた。(チームが)連敗しなくてよかった」。北京五輪日本代表に選出されたため、代表集合まで残る登板は28日の日本ハム戦のみ。自身初の2年連続2ケタ勝利を置き土産に、胸を張って北京の地に乗り込んでみせる。【石田泰隆】