最大の強敵は審判!?

 3月の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表入りが確実な日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が25日、WBCの審判対策に乗り出す考えを明かした。昨夏の北京五輪の経験を踏まえ、ストライクゾーンに違いがあるとされる国際審判を想定した投球練習の大切さを力説。マウンドでのポーカーフェースも課題に掲げた。

 敵は米国でもドミニカ共和国でもなかった。ダルビッシュが“強敵”に掲げたのは審判員だった。北京五輪の苦い経験を振り返って「人によって(ストライクゾーンが)まったくバラバラ。ボールがどうというより、審判に慣れないと」と強調した。WBC使用球への適応より、各国から派遣される国際審判へのアジャストを重要視する。

 昨夏の北京での経験が生きている。「(ストライクゾーンが)外に広いとか言われていたけど、そうでもない。狭い人もいた」。戸惑いもあったが、今ではいい教訓になっている。「日本の審判は精度が高いけど、メジャーの審判はバラバラしているので(メジャーの選手は)WBCにすっと入っていけると思う」と持論を展開した。

 だからこそ、準備が必要だ。「(ストライクゾーンの)横を取らないとか縦に広いとか、1回1回想定して投げても面白いかな」と話すように、今後のブルペン投球では審判の個性をシミュレーション。普段から最悪の事態を想定しながら投げ込んでいく。

 春季キャンプやWBC合宿でも、審判が派遣された場合は「極端に(判定を)やってもらって」と、要望を伝え本番に備える。滑りやすいとされるWBC使用球だが「ボールは、プロなんだから投げられる」と意に介さず、徹底的に審判対策を練る。

 マウンドでの無表情も対策の1つに掲げた。「国際試合は態度に出すと、(ストライクを)余計に取ってもらえない。ストライクゾーンに関しては顔に(不満が)出るところがあるので」と自覚症状もあり、北京五輪の米国戦でソフトバンク和田が淡々と投げた表情を参考に“悪態”を封印する。

 この日は、3日ぶりに千葉・鎌ケ谷の室内練習場ブルペンに入り、捕手を立たせ25球、座らせて45球。報道陣にも公開し、非公開だった22日と同じく上下ユニホーム姿で、ツーシームなどの変化球も交えた。WBCに向けた調整は順調だが「ストライクを投げない限り、話にならない」。ダルビッシュが審判と仲良くなるすべを本番まで追求する。【村上秀明】

 [2009年1月26日8時24分

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