<オープン戦:巨人7-1ロッテ>◇28日◇東京ドーム

 「ビッグウエーブ打線」がベールを脱いだ。第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表を世界一に導いた巨人原辰徳監督(50)が28日、ロッテとのオープン戦でチームに復帰し開幕戦を見据えたベストメンバーで臨んだ。亀井義行外野手(26)を1番に据えた左右ジグザグの打線は、5回に5本の長短打で4点を奪うなど、13安打7得点の猛攻で圧勝した。新オーダーに手応えを感じた原監督は「今年のジャイアンツはウエーブを起こす」と、力強くリーグ3連覇を誓った。

 単なる強打者の寄せ集めではない。この日の巨人の先発オーダーには、確かな意図を感じさせる“何か”があった。久しぶりにジャイアンツのユニホームに袖を通した復帰戦。原監督は小笠原、阿部らWBC組を起用し、開幕戦を見据えたベストオーダーを組んだ。その打順の並びに、今年の攻撃の形が、はっきりと浮かび上がった。

 原監督が1番に置いたのは、俊足巧打の鈴木ではなく、亀井だった。WBCでは控えに回った男に、1打席でも多く実戦機会を与えるための配慮ではない。「今日の時点でのジャイアンツのベストオーダー。そう考えてもらって結構です」。攻撃的な打者を先頭に置くことで、打線全体を活性化させる。02年には清水(現西武)を、07年には高橋由の1番起用を成功させた原監督ならではのアイデアだった。

 左の強打者が多い巨人打線にとって、最重要課題は左投手の攻略。WBCで韓国代表の左腕エース金広鉉を左右の打者を交互に並べる打線でKOした原監督は、シーズンでも同様の作戦でライバル球団を迎え撃つ青写真を描いている。相手の継投を難しくするメリットもある。「全員でカバーし合える打線で、ビッグイニングもつくれる」。亀井を1番に、スイッチヒッター鈴木を2番に置いたジグザグ打線はズバリ的中。5回裏、9番谷の3号ソロの後、亀井、鈴木の連続安打でチャンスを広げ、この回一挙4点を奪った。

 13安打で7得点。WBCからの復帰戦を会心の勝利で飾った原監督は試合後、本拠地のファンの前で3連覇を約束した。「必ず、今年のジャイアンツは“ウエーブ”を起こします」。エース上原が抜けた今季は、東野ら若い投手を使いながら育てる方針。ある程度の失点を覚悟し、取られた点はこの日のような波状攻撃で取り返すしかない。先発投手陣に不安を抱えたまま開幕を迎える巨人にとって「ビッグウエーブ打線」が命綱となる。【広瀬雷太】

 [2009年3月29日8時53分

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