阪神矢野輝弘捕手(40)に開幕1軍スタートの可能性が浮上した。30日、右ひじ手術からの復活を目指す正捕手について、木戸克彦ヘッドコーチ(48)が1軍登録する可能性を示唆。今オープン戦は1試合も出場できなかったが、経験の浅い若手捕手陣の精神的柱としても期待が寄せられており、ベンチ入りも含めて1軍登録される可能性が出てきた。開幕1軍登録メンバーの提出期限は31日(公示は4月1日)。ギリギリまで矢野の状態を見守り、最終決定を下す。

 絶大な信頼が置かれている証だろう。オフに右ひじ手術を受け、今オープン戦は1試合も出場のなかったベテラン矢野に対し、首脳陣は開幕を1軍で迎えさせるプランを温めていた。

 木戸ヘッドコーチ

 本人は必死にやってるからね。その気持ちに応えたらなあかん。まだ(4月3日の開幕まで)4日間もある。難しいかも知れんが(登録締め切りの)31日ギリギリまで待つよ。

 4月1日が開幕1軍登録メンバーの公示日ということもあり、メンバー提出期限直前まで可能性を探ることになった。

 矢野は昨年11月に右ひじを手術。年明けから投球と同時にティー打撃を再開した。2月のキャンプ終盤には二塁送球も解禁するなど、順調にリハビリを重ねてきたが、3月に入ってペースダウン。実戦復帰が見込まれていた16日の無観客試合巨人戦(甲子園)を大事を取って回避すると、21日広島戦(倉敷)、24日からのソフトバンク3連戦、オープン戦最終カードとなった28日からのオリックス2連戦(京セラドーム大阪)と、立て続けに出場を取りやめた。

 追い打ちをかけるように、24日には新たに左ふくらはぎの強い張りが判明。キャッチボール、打ち込みを一時回避するなど、開幕1軍スタートが絶望視されていた。99年から昨季まで10年連続で開幕スタメンマスクをかぶってきた矢野自身も「ずっと出てきた試合だし、完全にあきらめた訳じゃないけど、かなり厳しいと思っている」と突き付けられた現実を受け止めるように話していた。

 ただ、首脳陣は矢野の経験、存在感に大きな期待を寄せていることも事実。例え試合に出場できなくても、ベンチにいるだけで経験の浅い捕手や投手に助言ができる。木戸ヘッドコーチは「シモ(下柳)にも聞いたら『待ってやってください。アイツも喜びます』と言うとった。ぶっつけ開幕?

 本人とも相談するが、2軍戦に出ることがあってもいい」とさまざまなプランを描いている様子だ。

 常川チーフトレーナーもこの日、矢野の状態について「明日(31日)最終チェックする」と明言。新生真弓タイガースを支える扇の要の“進路”は、31日に下される。【石田泰隆】

 [2009年3月31日11時57分

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