<広島2-5横浜>◇14日◇マツダスタジアム

 1打席目にまいた種が、3打席目に実を結んだ。1点を追う6回表1死満塁。横浜内川聖一内野手(26)はフルカウントから球速140キロ台前半にまで落ちてきた広島ルイスの外角直球を右翼線へ逆転2点二塁打。二塁ベース上で謙虚に手をたたいた。今季初、昨年8月17日以来の3連勝。3番打者の孤高のトンネルに、やっと光が差した瞬間だった。

 勝利に浮かれるそぶりもない。「(3連勝は)やっと、という感じ。3連勝とはいわず、借金の数や相手も関係なくやっていきたい」と真剣な表情を見せた。初回の1打席目にはフルカウントから7球ファウルで粘り、13球目で四球をもぎ取った。田代監督代行が「ルイスはいい投手なんで、何とか球数を放らせたかった。ああいうのは効いてくるね」と、スタミナ戦の勝利を内川が実証していた。

 打率が3割でも得点圏打率が低ければ満足などしない。昨季は両リーグ1位の4割4分9厘の得点圏打率を残したが、今季は1割台からなかなか抜け出せなかった。「やっと平常心で打席に入れるようになった。熱くなる部分と冷静になる部分をうまく使える。去年ぐらいくると得点能力も上がる。まだまだやることはあります」と低迷の責任を感じていた。

 愛子さまが内川のファンという皇太子ご一家が訪れた12日のヤクルト戦(神宮)でも、独特の雰囲気の中で逆転勝利した。この日も逆転に殊勲の内川は「台覧試合はどうかは分からないけど、きん差の試合を落とさずにやっていけばチームは強くなると思う」と手応えをつかんだ。初の3連勝に田代代行も「1つ1つ積み上げることが大事。いい野球ができている」とうなずく。内川も逆転の「オバQ野球」も、もう止まらない。【今井貴久】

 [2009年7月15日9時7分

 紙面から]ソーシャルブックマーク