オリックスは28日までに大石大二郎監督(50)と来季の契約を結ばないことを決め、前阪神監督の岡田彰布氏(51=野球評論家)に監督就任を要請する方針を固めた。昨年5月にコリンズ監督のあとを受けた大石監督は同年2位に躍進させたが、今季は最下位。チーム再建に向け、球団ではOBで指導者経験も豊富な岡田氏に3年契約を提示する。改革の一環としてOBのカブス田口壮外野手(40)の獲得を目指すことが判明。松岡良伯球団社長(60)の退任など、フロント陣の刷新にも着手した。

 最下位に低迷するオリックスがテコ入れを決断した。大石監督は契約が切れる今季で退任。球団は複数の候補の中から「監督経験者で球団OBが理想」という考えのもと、岡田氏にチーム再建のタクトを託すことを決めた。

 岡田氏はこの日「何も聞いていない。チームがシーズンを戦っているときにそういうことは何も言えない」と語ったが、現場復帰への意欲は強く、要請を受諾するのは確実だ

 04年から5年間、阪神の監督を務め、05年にリーグ優勝。藤川らの「JFK」を構築し、投打のバランスの取れた強豪に育てあげた。昨年、13ゲーム差を逆転されてV逸した責任をとって辞任したが、球界での評価はいまだ高い。

 94年から現役最後の2年間はオリックスでプレー。引退してすぐの2年間は2軍で助監督兼打撃コーチを務めた。球団関係者は「当時から面倒見がよく周囲の信頼も厚い、いい指導者だった。今のチームには知っているスタッフもたくさんいる」と期待する。

 注目の組閣、コーチ人事は古巣阪神からも招へいすることが濃厚だ。ヘッドコーチ格には阪神の吉竹春樹ファームディレクター(48)、投手コーチには阪神中西清起2軍投手コーチ(47)の名前が挙がる。ともに阪神で岡田監督を支え、05年には優勝に携わった間柄だ。

 コーチ時代に指導した三輪バッテリーコーチを2軍監督に配置し、2軍の藤井打撃コーチら現役時から気心の知れたスタッフを1軍に呼び寄せ、脇を固めることが濃厚だ。

 改革のもう1つの「目玉」はカブス田口どりだ。イチローらとともに90年代中盤の黄金時代を支えた球団OB。将来の指導者としても高く期待しており、まずは選手としてオファーを出す方針でいる。岡田監督同様に、若手が多いチームへの好影響も見込める。

 球団はフロント改革にも着手する。この日、30日付で松岡球団社長の退任を発表。宮内オーナーの関学大の後輩で本社でも「右腕」として働くオーナー代行の西名弘明氏(65)が社長を兼務する。また、中村球団本部長が「投手が2年続けて活躍することの難しさを痛感した」と反省したように、戦力面の見通しの甘さも敗因。同球団本部長をはじめ編成部門の担当者にも責任がおよぶ。

 岡田新監督はこの9年で8人目の監督。3年契約が示すように腰を据えたチームづくりへの期待は高い。10月15日に始まる神戸キャンプで岡田オリックスが改革の第1歩を踏み出す。

 [2009年9月29日11時2分

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