阪神林威助外野手(31)が、完全復活に向けてロケットスタートを切った。27日、沖縄・宜野座で合同自主トレがスタート。林は屋外フリー打撃で、今季の“虎第1号”を記録するなど76スイング中、3連発を含む13本の柵越えをマーク。体を回転させて打つ新打法で仕上がりをアピール。昨季はライバル桜井に後れを取ったが、今季は春季キャンプ前半の実戦形式練習からどんどん飛ばす覚悟。外野戦争で存在感を見せ、首脳陣の信頼を勝ち取る。

 “虎1号”は、林の9スイング目に飛び出した。重さ930グラムのマスコットバットを握って、桜井と並んだ1組目の屋外フリー打撃。内角球を引きつけて、しっかりはじき返した。白球を右翼スタンドにたたき込む。練習とはいえチームで最初の柵越えに、気分が悪いはずがない。その後の特打でも右翼席中段の看板にぶち当ててから、一気に加速。3連発もかっ飛ばして、仕上がりの良さを見せつけた。

 林

 初日としては感じは悪くない。まだ状態を確かめている。(飛距離は)追い風もあったので。徐々に体も動いてくるでしょう。

 控えめだったが、76スイングで13本の柵越え。この日は桜井が0本、狩野は3本、ホープの野原将は0本と、柵越え数では林が圧勝した。持ち味である強いインパクトで、弾丸ライナーの打球を次々とぶっ放した。

 もう後れをとるわけにはいかない。昨季は桜井と右翼を争ったが、ライバルに差をつけられた。56試合出場で打率2割8厘、3本塁打。昨年の秋季キャンプはメンバーを外れて、居残り組として鳴尾浜で練習を積んだ。背水の覚悟で復権を目指す今季に向けて「アピールしていくしかない。信頼してもらえるように。試合、紅白戦で結果が出せるように」と、前半からの好調持続を誓った。

 光はある。苦闘した昨シーズン後半に新しい打法の手がかりをつかんだ。ミートポイントを後ろにずらして、ボールをひきつけて強くたたく。「いろんな人のアドバイスを聞いて、教えてもらった。内からボールをつかまえる意識の打ち方。我慢して(体ごと)回転していく」。復権のためには、自分の長所である力強い球筋を追求することが最善の道だとはっきり自覚。「うまく体が回れば、強い打球が打てる。つまりながらでも強く飛んでいく」。

 今季は外野戦争で新加入マートンと桜井に挑戦する立場だ。「自分に負けないこと。人のことを気にしてもしょうがない。自分がどれだけできるか」。武器は長いオフを利用して、磨いてきた新打法。「ポイント、ポイントで修正して、バットの出し方を意識していく。打てる時にしっかり打っていきたい」。実戦形式練習からどんどんアピールして、外野の一角に割り込む。

 [2010年1月28日11時42分

 紙面から]ソーシャルブックマーク