<横浜5-2ソフトバンク>◇15日◇横浜

 悲鳴にも似た横浜ファンの歓声に後押しされて、打球が左中間スタンドに飛び込んだ。0-0で迎えた4回2死満塁、内川聖一内野手(27)がソフトバンク小椋の147キロの直球を振り抜いた。「人生の中で何度もあるわけじゃない。開き直った」。プロ10年目での初の満塁弾は、9連敗中のチームを救う一撃。「僕が打てないから負けた」と責任をかぶり続けてきた男から、やっと白い歯がこぼれた。

 ゲームを決めたのは内川だが、総力戦でつかんだ勝利だった。「みんなの気持ちが出ていた」と尾花監督。1軍登録されたばかりの大西が2安打1四球で先発起用に応えれば、6試合ぶりに1番に戻った石川も2安打を放った。6回からセットアッパーの牛田、8回から守護神山口を投入。監督自身も微妙な判定に抗議し執念を見せた。

 6月1日以来の白星。尾花監督からは「やっと勝てました。本当に長かった。どうやったら勝てるんだろうと思っていた」と本音がこぼれた。試合前、広岡達朗氏から「頑張れ」と声を掛けられた。ヤクルト時代は監督、コーチ1年目のロッテ時代はGMとして師事した恩師の言葉は何よりの良薬となった。「いいゲームを見てもらえたと思います」。最下位に沈んだ交流戦の最後でつかんだ重い1勝。18日のリーグ戦再開を前に、長い迷路から抜け出した。【鈴木良一】

 [2010年6月16日9時19分

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