さあ、20勝ロード!

 広島は27日から始まるヤクルト3連戦(神宮)で後半戦のスタートを切る。前半戦終盤に疲労のため先発登板を回避した前田健太投手(22)も26日、神宮外苑でのチーム練習に合流。23日の球宴第1戦(福岡ヤフードーム)に先発して自己最速タイの150キロを連発し、野村謙二郎監督(43)も「問題はなかった」と復調ぶりを認める。すでに11勝をマークするが、球団では82年北別府学以来の20勝到達も夢ではない。

 球宴で注目を一身に集めた前田健が、笑顔全開でチームに合流した。この日、都内で行われた練習ではキャッチボールを行ったあと軽めのランニングで調整。23日、初のオールスターで2回を無安打無失点。自己最速タイの150キロを2度マークした快投ぶりは、広島首脳陣への格好のアピールだった。

 テレビでチェックした野村監督は「(調整が)中5日になるかは分からないけど普通に行けると思う。問題はなかった。後半戦も、ああいう成績を残せるように、前半戦と同じように頑張って欲しい。彼の野球人生にとっても、大切な後半戦になる」と話した。今季はすでに11勝をマーク。これまで139イニングを投げており、蓄積疲労のため前半戦のラスト登板を回避していた。回復ぶりが注目されたが球宴の熱投で不安を一掃。後半戦に向けてまずはひと安心だ。

 若きエースにとって未知の挑戦になる。前半戦には「背番号くらい勝ちたい」と話し、18勝を目標に掲げてきたが残り10試合ほどの先発機会が残されており、20勝到達もまだ射程内。大きな野望になりそうだ。広島では82年北別府学(20勝8敗)以来、大台に達した投手は現れていない。長い広島の歴史でも10人だけが到達。佐々岡も黒田もなし得なかった好記録達成のチャンスは残っている。

 チームは借金16を背負って、5位で前半戦をターンした。前田健の力投が浮沈のカギを握る。「(球宴で)投げられたので、よかったと思います。前半戦と同じように、しっかり投げたい。いまのところ(タイトルにも)チャンスがあると思う。自分の投球をするだけ」。前半戦はハーラートップタイの勝利数だけでなく、防御率1・81、116奪三振はリーグ1位。沢村賞への期待もかかる。まずは30日の巨人戦(マツダ)が後半戦初先発の予定。マエケンの変わらぬ奮闘が、チームを上位へと押し上げる。【酒井俊作】

 [2010年7月27日10時56分

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