阪神南信男球団社長(55)が27日、FA権を取得した金本知憲外野手(42)の残留交渉で、自ら直接出馬する意向を明かした。阪神残留が基本線とはいえ、近日中に行われる契約交渉で流出の可能性がゼロとも言い切れない。他球団の魔の手も想定し万が一、交渉が長期化、難航した場合には、球団トップが誠意のラブコールを送り、口説く構えだ。

 阪神残留が基本線とはいえ、交渉ごとは何が起こるか分からない。球団は金本と近日中にFA交渉を行う見込みだが、交渉が長期化した場合、南球団社長は自ら出馬する考えを明かした。「最初から出て行くのはどうかと思うが、(最終的には)出て行っていいと思っている。まったくやぶさかではない」。東京でのスカウト会議出席のため新幹線を待った新神戸駅の待合室。球団のトップが主砲を身をもって引き留める考えを示した。

 今季3度目のFA権を取得した金本に対し、球団は年俸3億円を基本線とする単年契約を提示するとみられる。さらに右肩故障からの復活を信じ、1億円以上の出来高も付帯。真弓監督も「もちろん残ってほしい」と来季の中心構想に描く主砲に誠意を尽くし、ラブコールを送る。だが他球団から誘いの手が挙がらないとも限らない。交渉の中で金本の心が大きく揺れ動くかもしれない。そんな時、社長が切り札になる。

 金本とは昨年の契約更改交渉でも社長決裁で丸く収まった。プロ入り19年目で初の減俸(1億円)もあったが、金本は優勝へ向けたチーム方針を問うて越年。だが最後は社長が直接出馬して、自費キャンプを回避した。「僕が出て行った時は(最終の)金額が決まる時になるでしょう」と南社長。もちろん出番なしが一番の理想だが「来季も虎」の確約を得るまで人事を尽くし、天命を待つ。

 [2010年10月28日11時30分

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