完全無欠のシーズン到来の予感だ。日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が29日、札幌ドームでのオリックスとの練習試合に先発。5回を2安打に封じ、今季実戦の無失点イニングを16に伸ばした。最速は154キロ。対策のため左打者7人を先発に並べたオリックス打線を、140キロ台後半の高速カットボールでねじ伏せた。「(カットは)真っすぐに見えるんじゃないですか。左を並べたらいくぞ、というのを見せられた。配球もしやすい」。力と技で6三振のうち左打者から5個を奪った。

 4月5日に敵地で予定のソフトバンクとの練習試合が、開幕前の最終登板。この日の3日前、26日に過度のウエートトレを行い「体が重くて気持ち悪かった」とまだ余力を残していた。キャンプ中から、盤石で開幕を迎える条件の1つに、変化球の精度を設定。この日の時点で「あとはウエートをしすぎないこと」とハードルをすべてクリアした。

 進化形で臨む今季本番は近い。今季実戦5試合全16イニング無失点。母校・東北高はセンバツで敗れて一夜明け「よく頑張った。負けたけれど出たことに意味があった。自分たちでつかみ取ったものですから」とたたえた。被災地復興の思いのバトンも受け、ダルビッシュが躍動の時へ向かう。【高山通史】