<日本ハム0-5ソフトバンク>◇27日◇札幌ドーム

 4年目の初完封だ!

 ソフトバンクのデニス・ホールトン投手(31)が、来日初完封で今季2勝目を挙げた。好調日本ハム打線を相手に、5安打5奪三振。08年に来日し、いまや「右のエース」となった助っ人が、一番乗りの完封で再びチームを勢いづかせた。

 あきらかに、力んでいた。9イニング目のマウンド。ホールトンは、先頭の陽岱鋼に対して初球からすべて直球で3球連続ボール球を投じた。高めに抜けた3球目は、この日最速の146キロを計測した。

 8回まで四球はわずか1。スコアボードに8個並べた0を見て、落ち着きを取り戻した。3ボール1ストライクから二ゴロに打ち取ると、この日5度目の3者凡退で来日初完封を完成させた。

 「(最終回は)自分でも体力的に余裕があったので全力でいった。野手のみんなに助けられて、初めて完封できたことがうれしい」。

 最終打者の打球を処理した多村から、ウイニングボールを受け取った。来日4年目で25個目となった白星。格別の1球を、大事そうにグラブにしまった。先発となった09年には、外国人投手として球団44年ぶりの2ケタ勝利を達成。貴重な先発右腕としてローテーションを支えているが、完封はなかった。初めて最後まで相手にホームを踏ませず、文句なしの「右のエース」になった。

 最高のリベンジにもなった。昨季は日本ハム戦に3試合登板し、1勝2敗、対戦防御率15・58と打ち込まれた。8勝に終わった昨季の反省から、オフには、米国で初めて専属トレーナーを雇いトレーニング。体重を7キロ近く絞った。4年目は「右のエース」としての責任感と風格が伴った。

 「(日本ハムに対して)去年から特別何かを変えたわけではない。去年に比べて自分の調子自体がいいだけ」。

 比較的、外国人投手は完封や完投にはこだわらない傾向にある。だが、どうしても完封したかった。24日に守護神の馬原が不調で登録抹消。ただでさえ開幕から登板過多気味だった救援陣を、休ませたかった。来日4年目。21日には好投した中継ぎの大場を自ら食事に誘い出し、投球をねぎらった。助っ人ではなく、仲間とともに日本一を目指すチームの一員という意識がある。

 「リリーフ陣にはいつも助けられている。これからもチャンスがあれば1人で投げきりたい」。

 ホールトンが、自身にとっても、チームにとっても大きな完封を飾った。【倉成孝史】