<日本ハム1-4ソフトバンク>◇6日◇札幌ドーム

 日本ハムが悪夢の逆転負けを喫した。ソフトバンク3回戦で、先発ブライアン・ウルフ投手(30)が8回3安打1失点と好投したが、9回に登板した中継ぎ陣が大誤算。大きく組み替えた打順も機能せず、得点は中田翔内野手(22)の3号ソロだけに終わった。今季先制した試合は7戦全勝だったが、8戦目にして初黒星。首位決戦第1ラウンドを落とし、再びソフトバンクに並ばれた。

 ハッピーエンディングへ向かっていたはずの物語は、最終章を前に大幅に書き換えられた。序盤から終始優勢に試合を進めながら、9回に左のリリーフエース宮西が、松田に決勝弾を浴びて逆転負け。梨田監督は「ウルフがいい投球をしていたし、中田の本塁打もあった。1対0でこのままいけるのかな…と思ってはいたけど。もったいないというか」。描いていたのとは違う結末。だが「負ければ采配が悪いということ。選手は責められない」と現実を受け止めた。

 ウルフの投じた85球目を境に、戦局は一変した。150キロ近い速球と130キロに満たないカーブのコンビネーション。7回2死まで無安打投球を続け、スタンドの誰もが大記録を意識していた。だが、松田の三遊間への打球に、名手小谷野は追いつきながらも捕球できず、初安打を献上。張り詰めていた空気が、弛緩(しかん)した。

 続く8回無死一塁、多村に左翼線への適時二塁打を許して追いつかれると、もう歯止めは効かず救援陣が9回に突き放された。ウルフは「うまく投げられた。記録達成ができていれば良かっただけど…。登板の時はいつも、チームの勝利のことしか考えていない」。納得の投球と待っていた結果の反比例。表情は複雑だった。

 今季、先制点を挙げた試合で7戦全勝だったチームが、初めて味わう終盤の逆転負け。悔しい1敗で首位攻防初戦を落としたが、梨田監督は「野球はこういうこともある」。難敵杉内攻略の第2ラウンドへ、脚本を練り直した。【本間翼】