<阪神0-2中日>◇28日◇甲子園

 4連敗中の中日を新外国人のエンジェルベルト・ソト投手(28=イタリアリーグ)が救った。6回無失点で先発転向後2連勝。前回登板の18日巨人戦(東京ドーム)で連敗を6で止めたが、再び連敗を止めた。ここ13試合でチームが挙げた2勝はいずれもソトによるもの。気迫十分の投球で同一カード3連敗を免れた。

 苦しむ今の中日に必要なものを、ソトが体現した。1球にかける-。この姿勢で再び連敗を止め、後半戦チーム初白星を呼び込んだ。来日初先発を初勝利で飾った前回登板の巨人戦に続いて、連敗ストッパーとなった。テスト生からはい上がった年俸7万ドル(約560万円)の格安助っ人は、いまや救世主だ。

 ソト

 チームは悪い流れに入ってしまっているので、1回1回集中して、何とかして流れを良くできるように心がけて投げた。

 この日も球種より多いのでは?

 というほど多彩なガッツポーズを繰り出した。4万人超のほとんどが阪神ファンで黄色く染まった甲子園。「スタンドは無視した」とその熱気さえ上回る力投とガッツポーズだった。

 2回から毎回安打を浴び、走者を背負ったが必死で粘った。最大のピンチは1点をもらった直後の6回。2死から四球と二塁打で二、三塁と一打逆転の場面を招いた。ここで浅井を中飛に打ち取ると、拳を握った両手を激しく振り下ろすダブルガッツポーズ。2倍のパワーでほえた。

 当初は左の中継ぎ要員だった。目立った成績も残せないまま、前回先発に抜てきされ連敗ストッパーになった。名前はエンジェルベルト・ソト。その一部に幸せを運ぶ“エンジェル(天使)”とある。「天使とは関係ない。そういう意味ではないし、特に意味はないんだ」と否定するが、オレ竜にとってはまさにエンジェル=天使だ。

 昨季までは欧州のイタリアでプレー。1年契約の男はたくましさが違う。森ヘッドコーチも「ソトさまさまだ。(来年もチームに)残りたいという気持ちが伝わってくる。ローテの柱だ。ずっと使い続けます」と、ローテ入りを明言した。

 勝ってもおごらず、チームのために投げ続ける。

 ソト

 自分の力なんて少しだが、みんなと力を合わせてチームが勝てるように貢献できればいい。

 グラウンドの1球に生活を懸ける男のこの必死な姿勢こそが、チームをよみがえらせるポイントに違いない。【八反誠】