<ソフトバンク3-2日本ハム>◇30日◇福岡ヤフードーム

 これぞエースだ!

 ソフトバンク杉内俊哉投手(30)が、圧巻の投球で日本ハム・ダルビッシュに投げ勝った。ともに通算46度目の2ケタ奪三振をマークする真っ向勝負を制し、2失点完投で6勝目。これで、首位攻防戦は2連勝。ゲーム差を2・5に広げた。

 最後は、3球三振で締めた。1点差の9回表2死。杉内が、4番中田をチェンジアップとスライダーで簡単に追い込んだ。3球目に選んだのは、外角高め直球。魂を込めた141キロに中田のバットが空を切ると、マウンドでくるり反転し左腕で力強くガッツポーズした。

 杉内

 ダルビッシュだから、試合前から燃え上がるものがあった。

 首位攻防戦でのエース対決を、気迫で制した。抑えきれない力みからか、初回の先頭打者に四球を与えた。2死からは中田に左前適時打を浴び先制点を献上。球界NO・1投手を相手に痛恨の失点となったが、ここからが球界NO・1左腕の真骨頂だった。

 杉内

 立ち上がりが悪いのはいつものこと。味方が同点にしてくれて波に乗れた。

 味方がすぐさま同点に追いついてくれると、2回以降はきっちり修正し、ギアチェンジした。小谷野に安打を許した4回以外は7回まですべて3者凡退。ダルビッシュが6回裏に2ケタ奪三振を記録すると、追いかけるように8回表に10個目の三振を奪った。ともに松坂(レッドソックス)を抜き、歴代5位タイの46度目の2ケタ奪三振をマーク。球界最高峰の投げ合いを演じ、そして制した。

 杉内

 尊敬するダルビッシュから勝てたのはうれしい。年齢とか関係なく尊敬してるし、僕もああいうピッチャーになりたい。

 この一戦の意味を誰よりも理解していた。球宴では、第2戦に登板し2イニングで3三振を奪い無失点。球宴らしく直球勝負にこだわるのではなく、変化球を巧みに駆使し普段通りの投球を行った。自他共に認める負けず嫌いな性格が出たのではなく、この日の一戦に備えお祭りの舞台でも本番モードで投げていた。

 秋山監督

 (杉内は)かなり気合が入っていたな。去年の最後もああいうピッチングだった。

 首位攻防戦を連勝し、指揮官の頭には、昨季のリーグ制覇につながったシーズン143試合目の杉内の完投劇が頭に浮かんだ。日本ハムとのゲーム差は2・5。エース杉内が、大きな1勝をもたらした。【倉成孝史】