<中日2-3巨人>◇16日◇ナゴヤドーム

 打線改造もあと1歩及ばず、5位に転落した。落合竜は3安打2得点で敗れた。落合博満監督(57)は不振の和田一浩外野手(39)を1カ月ぶりに4番に戻したが、苦悩する昨季MVPスラッガーは無安打。反撃の時はいつなのか。原点に戻った打線で再出発するしかない。

 落合監督の言葉が会見場に響いた。7回に2点を奪って1点差に詰め寄ったが、終わってみればヒットは3本のみ。やはり、敗因は打線だった。再び5位に転落する黒星の後に指揮官はひと言、残した。

 「勇気を持ってバットを振り切らないと現状は打開できないな」

 森野を3番に戻し、不振の和田に再び4番を任せた。7月14日ヤクルト戦(神宮)以来、3番森野、4番和田という開幕時の打順に戻った。“原点回帰”したわけだが、指揮官の言葉が象徴するように、序盤からもどかしい打撃が続いた。

 初回、巨人ゴンザレスから3番森野が二塁打で出塁した。4番和田は追い込まれた後、内角の際どい球にハーフスイングをとられ、三振。フルスイングが代名詞の昨季MVPは1球も自分のスイングができなかった。

 最初のチャンスを逃した後はゴンザレスのストライク先行の投球に押されるように、6回まで無安打。7回に代打小池の適時打などで2点を返したが、最後まで連打は出なかった。

 「打てる球は何球かあった。それを打たなかったということ。相手どうこうより、こっちの問題だと思っています」

 3打数無安打2三振に終わった和田の表情はこわばっていた。昨季は4番として打ちまくって逆転優勝を導いた。和田のバットとチームの浮沈はリンクする。主役が舞台の真ん中に立たなければ、ドラマは始まらない。【鈴木忠平】