<楽天4-1日本ハム>◇10日◇Kスタ宮城

 あの夏がよみがえった。楽天田中将大投手(22)と日本ハム斎藤佑樹投手(23)のプロ初の先発対決が実現。06年夏の甲子園決勝で引き分け再試合を演じた2人の“再戦”に、Kスタ宮城は2万人超の満員となった。

 斎藤の3歳上の兄、会社員の聡仁(あきひと)さん(26)は覚えている。普段は野球の会話をしない。だからこそ、よく覚えている。早大に入ってしばらくたったころ。「誰かをライバル視することがない佑樹が、ポツリと『マー君はすごいよね…』って。高3の夏は勝ったけど、プロで活躍する彼を見て、自分はまだまだ成長しないといけないと思ったんでしょうね」。

 兄の佑樹評は「典型的な次男坊でマイペース。自己主張はあまりしない。でも負けず嫌いで、心の底に1本の柱を持っている」。周囲がどうあっても、ぶれない強さがある。そんな弟が漏らした言葉に強い意志を感じた。あのときも、そうだった。早大進学か、プロ入りか。「ハンカチ王子」として全国に知られ騒がれた、あの夏。最後は早実高で進路の表明会見を開いたが「佑樹はずっと進学志望だったと思う。家族会議で確認しました」と明かす。自分で選んだ大学の舞台でプロで戦う土台を築いた。

 心優しい兄は「佑樹がどう変わっていくか、ゆっくり見守っていきたい。長く付き合う友人みたいなものですよ」と話す。昔も今も一番の応援団長だ。【古川真弥】