<オープン戦:日本ハム12-3ソフトバンク>◇21日◇札幌ドーム

 日本ハムの攻撃型オーダーが、開幕へ向けばっちり機能した。5、6回に8安打、大量10点を奪い下した。先発したメジャー通算119勝のペニーも攻略。開幕戦を想定したメンバーで臨み、2番に入った稲葉篤紀外野手(39)が3打点、4番中田翔外野手(22)は4打点を挙げた。30日の開幕西武戦(札幌ドーム)へ、上り調子になってきた。

 メジャー119勝の実績がナンボのもんじゃい。日本ハムの“開幕オーダー”が、11安打12得点と、今季初対戦のタカ投手陣を粉砕した。栗山監督は「いい形でできた。意味のあったゲームだった」。細かい部分にミスは出たが、それでも昨季の日本一チームに圧勝したことに自信をのぞかせた。

 相手の先発は新戦力のペニー。メジャーで最多勝も獲得したことがある経験豊富な右腕に、稲葉も「球威があるし、カーブに落差もある。連打で打ち崩すのは難しい」と難敵であることは認めた。だが、2回に2つの四死球と犠打を絡めて先制点を奪うと、5回には投球リズムを狂わせて安打を集め、イニング途中でKOした。

 今年も、つながれば止まらない。ともに5点を奪った5、6回の攻撃が象徴していた。8番金子誠からの下位打線でチャンスをつくり、田中、稲葉、糸井、中田、スレッジと好打者が並ぶ上位で走者を一掃する。昨季の5番から今季は2番も任される稲葉は、適時二塁打で2度のチャンスを得点につなげた。さらに安打だけではなく、クリーンアップ3人で5四死球を奪う緻密さが、攻撃に厚みを増す。指揮官は「あれが大人の野球、ファイターズは野球をわかっていると言われる要因だと思う。塁に出るということではなく、次の打者を楽にしてあげるのが、つなぐということ。それを求めて打線を組もうとしている」。確かな手応えを口にした。

 斎藤に開幕投手を託した栗山監督だが、それを援護するスタメンオーダーも固まっている。2番に金子誠を置くパターンなど3種類ほどの構想を使い分ける方針ではいるが、右腕の西武涌井が先発する30日の開幕戦(札幌ドーム)に関しては、この日のオーダーで臨むことが濃厚。その中心に据わる中田は、満塁の5回に押し出し四球を選ぶと、続く6回も満塁から走者一掃の適時三塁打でトドメを刺した。「しっかりとボールが見られている。四球でも塁に出るということをやっていけば、打線はつながる」。全員の思いを、代弁した。

 栗山監督は笑顔で言う。「今年は点を取らなきゃいけないという中で、こういう試合をつくっていければいい。こう打つと(気持ちが)楽になるんだよね」。オープン戦は残り3試合。抜群のタイミングで、打線に火が付いた。【本間翼】