<楽天0-4日本ハム>◇29日◇Kスタ宮城

 悔いの残る1球だった。楽天戸村健次投手(24)が日本ハム5回戦に先発し、8回3失点で今季初黒星を喫した。4回、スレッジに先制二塁打を許すと、6回には再びスレッジに2ランを打たれた。初球、甘く入った直球を運ばれた。3年目の今季、飛躍が期待されるだけに、失敗を次に生かすしかない。

 戸村は右翼席中段、打球が落ちた辺りを見詰めた。0-1の6回2死二塁、スレッジへの初球は「完全なコントロールミス。甘いところにいってしまった」という真ん中高め。4回には左中間席にワンバウンドで飛び込む先制二塁打を許した大砲相手に、痛い制球ミスだった。「長打のある打者なのに、長打の出るゾーンに投げてしまいました」と唇をかんだ。

 中盤で3点リードを許した。相手先発が武田勝では、試合の行方をほぼ決定付ける1発になった。それでも、気持ちだけは切らさなかった。「常に、最後まで投げることを目標にしていますから」と、7回、8回は0に抑えた。9連戦の2試合目。ベンチは負け試合では極力、投手は使いたくない。先発として、一定の仕事は果たした。星野監督は「2死まで取ったのに。あとアウト1つでホームランはダメ。気を付けないと」と言ったが、「頑張ったといえば、頑張ったのかな」と評価も忘れなかった。

 3年目。転機の年になろうとしている。かつてのドラフト1位も、プロ入り2年間は勝ち星に見放された。早い回でKOされることもあったが、援護がなかったり、降板後に中継ぎが逆転されたりと、勝ち運もなかった。「今年、やらないとまずい」と背水の思いで今季に臨み、ここまで2勝を挙げた。

 内面の成長がある。「2年間、やって。試合の中で切り替えられるようになりました」。プロ初勝利の4日ソフトバンク戦では3回に先制を許したが、後続は抑えた。すると、味方が逆転してくれた。2勝目の22日ソフトバンク戦は再三ランナーを出したが、勝負どころを締め6回無失点だった。この日は、敗れはしたが大崩れはしなかった。あっさり降板していた昨季までの姿はない。だから「悔しい」と繰り返した言葉には、実感があふれていた。【古川真弥】