<西武4-2ロッテ>◇25日◇西武ドーム

 亡き祖母にささげる一打だった。8回1死、4試合連続猛打賞に王手をかけていた西武中島裕之内野手(29)は天を見上げ、そっと心の中で約束した。「おばあちゃんのために打ったろう」。カウント2ボール2ストライクからの5球目、内角のシュートに詰まりながらも、右前に運んだ。球団記録には「全然知らんかった」と無頓着だったが「いつも、僕の活躍する姿を喜んでくれてた」祖母に安打を届けられたことが、うれしかった。

 悲報が届いたのは、前半戦が終了した直後だった。幼いころから兵庫・伊丹市で同居。「ご飯を作ってもらったり、よく面倒をみてもらった」という大好きな祖母だった。普段は状況を冷静に見極める天才打者も、この日だけは特別で「追い込まれるまでは、ホームランを打ったろうと思った」。記録達成を決めた打席の2球目、中島が見せたのは、極めて珍しい豪快なフルスイングだった。

 打率を3割1分9厘に急上昇させ、首位打者に躍り出た。「シーズンが終わって1位になってればいいなと思いますけど、今は何ともね」と意に介さず。「おばあちゃんのために、これからもっともっと打ちますよ。まだまだ、こんなもんじゃないですから」。チームを再び勝率5割に乗せた男は、亡き祖母の思いを胸に、Hランプを重ねる。【久保賢吾】

 ▼中島が15日オリックス戦から4試合連続猛打賞。3安打以上の猛打賞を続けたのは54年8月西沢(中日)03年6月井口(ダイエー)の5試合が最長で、4試合以上は06年9月新井(阪神)以来、6年ぶり。パ・リーグでは03年9月柴原(ダイエー)以来5人目で、西武では初めてだ。中島が今日の試合で西沢、井口の5試合連続に挑戦する。