<ソフトバンク2-1西武>◇17日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクが、2位西武との瀬戸際3連戦の初戦を取った。2回に多村仁志外野手(35)が決勝の4号2ラン。約1カ月ぶりの貴重な1発で、観客に“ししとう”を配布したイベントにふさわしい獅子倒を果たした。これで2連勝。首位日本ハムとの3・5ゲーム差は変わらないが、西武とは2ゲーム差に縮めた。

 ソフトバンクが「長い1日」を制した。試合の流れを引き寄せたのは多村だ。2回1死二塁から、8月24日ロッテ戦以来となる4号先制2ラン。これが決勝点となった。バックスクリーン左に運んだ岸の直球は、外角高めのボール気味の難しい球だった。

 「一瞬高いと思って、とっさに右手をかぶせたのが良かった。そのまま普通に振ってたら、空振りしていると思う。芯に当たったので、外野は越えるだろうと思った。まさか入るとは思わなかった」。35歳の匠(たくみ)の技が詰まった一撃。多村がアーチを放った試合は、これで3年越しの9連勝となった。

 前日16日に福岡入りした西武に対し“ハンディ”を背負っていた。16日は札幌でデーゲーム後に東京までへ移動。九州北部に接近した台風16号の影響で、都内泊だったチームはこの日、福岡への移動便変更を余儀なくされた。予定より3時間も早い早朝の始発便に乗るため、朝5時に起床していた。

 多村はいったん自宅に戻った。「子供がなかなか寝かせてくれなくて…。妻が『パパを寝かせてあげて』と言ってくれて、やっと寝られた」と苦笑い。それでも勝てたのは、リーグ3連覇への強い気持ちがあるから。「僕だけじゃなく、みんながしんどい中で頑張った。逆転優勝が狙える位置にいるので、みんなスイッチが入っている」。

 8月まで打率2割3分台と低迷。右手小指の捻挫で出場選手登録抹消も経験した。スタメンと代打の併用が続き「慣れないよ」とこぼしたこともある。ただ9月の月間成績は39打数14安打の3割5分9厘と、トンネルを完全に抜けた。「出たり出なかったりだったけど、気持ちを切らさずにやってたのが良かった」。リーグ最終盤にベテランの復調は頼もしい材料。秋山監督も「多村のホームランが大きかった」と絶賛した。

 今3連戦は7月の「鷹の祭典」で使い、今月7~9日のロッテ戦でも着た緑のユニホームを再着用。過去12勝5敗1分けと、高勝率を誇る戦闘服の効果がさっそく出た。さらに緑の服装の入場者先着3000人に獅子を倒す願いを込めて「獅子唐辛子(=獅子倒)」をプレゼント。球団サイドも一丸となった上位対決だった。【大池和幸】