<楽天9-2ソフトバンク>◇18日◇Kスタ宮城

 主砲の1発が連敗を止めた。楽天アンドリュー・ジョーンズ外野手(35)が3号3ランを放った。3-0の2回2死二、三塁で、東浜のスライダーをライナーで左中間席に運んだ。メジャー通算434本塁打の実力を見せつけ、序盤で試合を決定付けた。チームの連敗は4でストップ。3位タイに浮上した。

 ジョーンズの我慢勝ちだった。3点リードの2回2死二、三塁。ソフトバンク東浜に3球で追い込まれてから、くさい球に手を出さなかった。フルカウントからの6球目。「とにかく芯で打つことを心掛けた。打てるゾーンにスライダーが来て、自分のスイングが出来たから良い結果になったね」と、外角高めをフルスイング。打球は一直線に左中間スタンドへ消えた。

 ダイヤモンドを1周し、二塁走者だった藤田と、三塁走者だった聖沢とハイタッチ。左手で2人の頭をポンポンとたたくしぐさは、お兄ちゃんが弟たちを「いい子、いい子」しているようだった。

 “頼れるお兄ちゃん”。ジョーンズがチームで築いた立場だ。メジャー通算434本塁打。10年連続ゴールドグラブ賞。過去に来日した外国人選手の中でも実績は群を抜く。蓄えも十分にある。なぜ、来日したのか?

 ジョーンズ

 正直、野球をやめるのは簡単だよ。アメリカで数字も残したし、十分なお金ももらった。だけど、ここ数年、大好きな野球を毎日やれる環境になかった。だから、日本に来る選択をしたんだ。

 昨年12月、米国アトランタの自宅で立花球団社長と入団交渉した際、長距離砲がいないチーム状況を聞くと、その場でサインした。もちろん、周囲の目は分かっている。「若い子が多いよね。僕で力になれれば何でもするよ」。指名打者としてベンチにいる時間が多い。劣勢でも「あきらめるな!」と声を出す。その姿に、嶋は「あれだけのキャリアの人が」と驚き、ますます信頼を集めている。

 お立ち台デビューも果たした。「対戦が1巡したからね。相手チームの特徴も分かってきた」と頼もしい。ド派手に連敗を止めた1発が、逆襲ののろしとなる。【古川真弥】