エッ、別れのメッセージ!?

 阪神マット・マートン外野手(32)が、退団する可能性をにおわせた。22日、関西空港から米国に帰国。今季は4番に座り、リーグ最多安打(178安打)のタイトルに輝いた。今季は2年契約の最終年で、来季の去就については明言を避けたが「日本で過ごしたことは自分の気持ちに一生残る」などと感傷的に話した。メジャー再挑戦の選択肢も否定せず。虎を4年間支えた助っ人の行く末はまったく見えない。

 阪神で過ごした4年間の思いがせきを切って出た。関西空港での帰国会見。マートンが話し始めると、止まらない。その口調は、別れの言葉にも聞こえた。

 マートン

 4年間、日本で暮らすことができて家族にも感謝したい。来年、どこに行こうと、日本で4年間過ごしたことは変わらないし、自分の気持ちのなかに一生残るものだと思う。

 今季はおもに4番に座って、2年ぶり3度目となる最多安打のタイトルに輝いた。猛虎打線に欠かせない一員だが、今季は2年契約の最終年。シーズン中も米大メジャーのスカウトがプレーを視察するなど、米球界も補強対象としてリストアップ。申し分のない実績を重ねた助っ人もメジャー再挑戦の思いを隠さない。

 マートン

 現状、どうなるのか自分でも分からないよ。メジャーリーグは子どもの頃から常に見てきた野球だし、プレーするのは憧れさ。日本に来る前にプレーしていたとき以上に(メジャーで)できるんじゃないかという気持ちを持っている。向こう(米国)で、なし遂げられなかったことをやりたい思いもある。

 阪神にとっては流出の危機。今年2月にも「来日1年目はメジャーに帰ることを考えていた」と明かしており、米球界への思いは消えない。球団は慰留する方針だが、交渉は平行線をたどっている。マートンは複数年契約を求める一方、球団は単年のスタンスだという。今季推定年俸2億4000万円もネックになっている。球団首脳も「感触は、分からない…」と言葉を濁し、先行きはまったく不透明。長期化は必至だ。

 阪神残留か、メジャー復帰か…。マートン自身は「機会があれば、またタイガースのユニホームを着てプレーできたら光栄」と話したが、野球人としての岐路でもあり、決断の期限を決めずに熟考する。1年目の10年はプロ野球新記録の214安打を記録し、脚光を浴びた。12年は能見への舌禍騒動、コーチへの造反もあり、苦悩のシーズンを過ごした。会見の最後は、とめどなく言葉があふれた。

 マートン

 外国人として異国に来てプレーして周囲に誤解を与える態度があったかもしれない。でも、自分は持っているものを100%出し切ることを心掛けてきたつもりだよ。阪神の選手としてではなく、自分が、どういう人間であったかを覚えておいてほしいんだ。正直(日本に)帰ってくるか分からない。自分自身も分からないけど、自分の気持ちを伝えずに帰るのは納得いかないんだよ。

 日本で話すのは最後かもしれない…。その覚悟を固めるから、思いの丈を語った。無我夢中で突っ走った日本での4年。進むべき道を探り、マートンは機上の人になった。【酒井俊作】