巨人菅野智之投手(24)が9日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉を行い、5500万円増の7000万円でサインした。巨人新人としては、1300万円から6600万円にアップした上原(現レッドソックス)を超える史上最高額。勝ち星、防御率、奪三振などチーム内の投手部門“7冠”を独占した大物新人が最大級の評価を得た。

 菅野が引き締まった表情で会見場に現れた。日本シリーズで昨季から30連勝中だった楽天田中に土をつけた記憶も、まだ新しい。ルーキーイヤーから強烈なインパクトを残した新人が、人生初の契約更改を終え「最大の評価を、最大にして最高の評価をしてもらったと思っているので、本当に満足しています」と胸を張った。

 新人として球団史上最高の評価を受けた。1年目で20勝4敗で投手部門のタイトルを総なめした上原をも悠々と超えた。タイトルには届かなかったが、先発投手陣をけん引したと言える成績を残した。13勝(6敗)を挙げ、貯金7、防御率3・12で、勝率は6割8分4厘。26試合に先発し、投球回数は176回、155奪三振をマークした。その数字のすべてはチームトップを誇った。

 交渉の席で原沢GMから「2年目からは軸として働いてほしい」と言われ、役割は日に日に増す。菅野本人も「さらに気が引き締まった。数字的なところは、ひとつも満足してない。1年間ローテーション守れたってところは満足している部分があるので、それが来年以降もずっと続けていきたい」と、口元を引き締めた。

 さらに前へ進むために原点の場所で、来季への力を蓄える。今日10日、優勝旅行先の米ハワイに出発。現地でランニング、キャッチボールを開始し、その足で米アリゾナに渡って本格的な自主トレに入る。「球宴明けから失速した部分がある。まずはストレートを磨く」と、浪人時代の昨年の1月後半から約1カ月間、トレーニングを積んだ地で直球のレベルアップを図る。

 開幕前に立てた目標は「まず1勝」だった。2年目の来季は「200イニングを目標にやっていきたい。チームとしても、日本一になって、もう1度、連覇に挑戦したい」とハードルも一気に上がった。大物新人というフレーズに別れを告げ投手陣の「軸」を目指す。(金額は推定)【為田聡史】

 ▼巨人菅野が5500万円アップの7000万円で更改した。入団2年目で7000万円は、04年和田(ダイエー)の8000万円に次ぎ、00年松坂(西武)に並ぶ歴代2位タイ。2年目の昇給額5500万円は和田(6500万円)松坂(5700万円)に次いで3位。巨人では00年上原の5300万円を抜いて球団史上最高となった。ただし、昇給率367%は、20勝で最多勝を獲得した上原の408%に次いで、球団史上2位にとどまった。