いよっ、エースが虎残留決定!?

 来季中にも国内FA権を取得する阪神能見篤史投手(34)が早くも“残留宣言”した。27日、甲子園球場内でトークショーに参加。FAの話題を振られると、慎重な物言いながらも虎に残るビジョンを語り、ファンをよろこばせた。オフの交渉では白紙を強調しながら1年契約を結んだ左腕エースの去就は球団にとって大きな課題だった。

 左腕エースの胸中は、タイガースへの思いでいっぱいだった。最近5年間で54勝を挙げた能見は、順調なら来季中に国内他球団への移籍が可能なFA権を取得する。去就についてインタビュアーに問われると、ひと呼吸置きながら丁寧に答えた。

 能見

 20代なら、いろいろ悩むと思う。(来年は)35歳でしょう。どうでもいいです。タイガースにいると思いますよ。

 年齢を念頭に置いてか、いつまでもタイガースでプレーしている像を描いた。まだFA権を取得しておらず、仮定の話にすぎない。能見は話題の冒頭に「何も考えていないですよ。とったことがないので分からない」とも話している。オフまっただ中の年末に実感が湧かないのは当然だが、現時点での思いとして突然の“残留宣言”に、甲子園の三塁側ブルペンに集まった約180人の虎党も拍手した。

 来年5月に35歳を迎えるが、能見の存在感は今後の阪神に欠かせない。来季も先発ローテーションの軸としてメッセンジャー、藤浪と3本柱になる。先発スタッフは手薄なのが現状。わずか9日前、18日の契約交渉の席でも複数年契約などFAの話題も出た。能見は白紙を強調。1年契約を結んでいただけに、球団としては引き留めが重要課題として残っている。

 まだFAの現実味はない。今オフはFA宣言してDeNAに移籍した久保の姿を間近で見ていた。「『どうですかね』と言っていたので、コイツ、残るんだと思っていた。まさか宣言するとは…。残るニュアンスだったから」と思い出す。FAは一線で戦うプロ野球選手の勲章でもある。権利を取得すれば、また違った感情も芽生えるだろう。まずは全力でシーズンに臨み、9年ぶりの優勝への旗振り役になる。【酒井俊作】

 ◆能見の1年契約

 18日に契約更改し、3000万円増の推定年俸1億5000万円でサイン。提示こそなかったものの、来季のFA権取得を見込み複数年契約の話題も出た。「まだ何も考えていない」と白紙を強調しながら、結果的に単年契約。更改後の会見では「全体でいい方向にいかないといけない」などと、チーム内のコミュニケーション不足を指摘して改善を訴えた。