名付けて雨降って地固めるキャンプだ。ソフトバンクは30日、雨上がりの筥崎宮(福岡市)で必勝祈願を行った。秋山幸二監督(51)はBクラス落ちした昨季を雨に例え、春季キャンプを「地固まるように」と決意表明。後藤球団社長はチーム全員に圧倒的Vを厳命し、今日31日はキャンプ前日の全体ミーティングを5年ぶりに復活させる。

 空気中のほこりがたたき落とされた雨上がり。「天気も味方してくれたかな」。筥崎宮の澄み切った空気を胸いっぱいに吸った秋山監督が思いを吐き出した。

 「雨降って地固まるじゃないけれど、地固まるように宮崎でやる。だいぶ雨が降ったからな。もう後はしっかり固めていくだけ。1人1人が自覚を持って取り組むこと。それが大事」

 昨年は先発投手も打線も固まらず、5年ぶりのBクラス4位。雨風に打たれたシーズンだった。それもキャンプインでリセットされる。雨が降るとかえって土地が固く締まり、いい状態になる。オフにはV逸したからこその大型補強。言い古されたことわざを、新しいチームづくりに重ねた。

 必勝祈願の前にはヤフオクドームで元銀行マンの後藤球団社長からチーム全員に訓示があった。人気ドラマ「半沢直樹」のような熱~いせりふで王座奪還の厳命が下った。

 「圧倒的に、容赦なく、完膚なきまでにやって、NO・1になってほしい。そうでないと常勝軍団にならない」。その号令に反応して王会長も「できればぶっちぎりで優勝したい。選手たちは昨年の悔しさがあって危機感がある。昨年は尻すぼみだったのでキャンプから個々の力を発揮すると思う」と選手、コーチ陣の尻をたたいた。

 後藤社長だけでなく、秋山監督も黙ってはいない。チームは今日31日に宮崎入りし、到着後に“異例”の全体ミーティングを開催する。春季キャンプ前日としては、秋山監督1年目の09年以来のこと。自らが5年ぶりに復活を決めた王座奪還ミーティング。チームの決起を促すどんな檄文(げきぶん)になるか注目される。

 「自分が引っ張っていくとリーダーシップでやってほしい。いろんなところで自分が決めてやる、という強い気持ちでやってほしいよね」

 今季のスローガン「俺がやる。」を球団トップから指揮官、チーム全員まで浸透させた雪辱シーズンが間もなく始まる。【押谷謙爾】