<日本ハム2-7楽天>◇27日◇札幌ドーム

 最下位に沈む楽天が開幕カード以来の3連勝をもぎ取った。豪快な1発はない。日本ハムの5失策を見逃さず、粘り強く得点を重ねた。逆転された直後の2回2死。嶋基宏捕手(29)が「取られた後だったんで何としても塁に出る」と右越え二塁打を放つと、つながった。聖沢が同点打。岡島はボテボテの二ゴロでも全力で走り、敵失を誘って出塁。その後の押し出し四球につなげた。

 星野監督が不在で、借金は最大15。どん底の雰囲気を変えたのは、選手たち自身だった。交流戦が終わった2日後の24日。選手会長藤田と嶋が発案し、仙台市内の焼き肉店で選手のみの決起集会を行った。2年目の則本が乾杯の音頭を取り、酒を酌み交わした。たわいもない話でひとしきり盛り上がると、最年長斎藤が締めのあいさつ。「メジャーに行ってたし、こんなのは久しぶり」と照れながら反撃を誓った。

 嫌な流れを変えるため、うまい食事と楽しい時間が必要だった。交流戦では良い当たりがことごとく正面を突いた。チーム打率2割2分4厘は12球団最低。俺が決めなければという思いが力みとなり、つながりを欠いた。発起人となった嶋は「負けが込むと個人プレーに走る。でもイーグルスは束になっていかないといけない。一丸となる気持ちが大事」と力説。1人1人の心の負担を軽くした。

 打線のつながりに、田代打撃コーチも「去年のように粘り強く球数を放らせている。これがうちの姿」と目を細めた。3連勝中は計16得点と、戻りつつある強い楽天の攻撃スタイル。ここから、巻き返していく。【島根純】