<阪神2-10中日>◇29日◇甲子園

 虎が緊急事態に陥った。中日戦に先発したエース能見篤史投手(35)が左脇腹の違和感を訴え、今日30日にも出場選手登録を抹消されることになった。初回8失点し、3回途中9失点で降板。チームは本拠地甲子園での惨敗で、4位に転落。首位巨人と7ゲーム差で、過去阪神が7差からの逆転Vはなく、デッドラインを超えてしまった。さらにエースの離脱…。窮地に立たされた。

 能見は自ら捕手の藤井をマウンドに呼んだ。慌てて内野手が集まり、中西投手コーチも走ってマウンドに向かった。ルナに四球を与え、3回2死一、三塁。左脇腹付近のアクシデントを訴え、まさかの途中降板。エースは異変に襲われていた。

 この日の能見は直球のキレがなく、躍動感もなかった。初回から5連続長短打を浴びるなど打者13人の猛攻を受け、7安打8失点。2回は無失点で切り抜けたものの、3回にも1点を失った。2回2/3を投げ10安打9失点。虎党の悲鳴に包まれてマウンドを去った。

 能見

 アクシデント?

 いろいろある。次?

 それはオレに聞かないで。

 降板後はトレーナー陣が続々とベンチ裏に集まるなど、慌ただしい雰囲気も漂ったが、能見は試合終了までベンチに座り続けた。和田監督は「脇腹というところで、詳しいことはまだ分からないけど、ちょっと伸ばしたか、違和感があるので。(検査は)まだこれから見てもらうなり、調べてもらうなり」と説明。今日30日にも出場選手登録を抹消されることになった。チームは今季ワーストの5連敗(1分け挟む)を喫し、4位転落した上に、エース離脱という最悪の事態に陥った。

 さらに気になるのは、本拠地甲子園でなかなか勝てない状況。この日も初回から球場は騒然とした雰囲気に包まれた。「ええ加減にせえ!」「やる気ないなら帰れ!」。オープニングから悪夢を見た虎党の怒号が飛び交った。

 和田監督

 甲子園でやってはいけない試合。こんな試合して大変申し訳ない。

 唇をかみ続けた指揮官も、ざんげするしかなかった。

 ▼初回に8失点の阪神が4月5日以来の4位へ転落。阪神の1イニング8失点以上は13年9月8日巨人戦の6回に9失点して以来だが、いきなり初回に8失点以上は98年4月25日巨人戦の9失点以来、16年ぶり。4月終了時の阪神は甲子園球場で10勝1敗だったが、5月は4勝7敗、6月が2勝8敗1分けと、5月以降は本拠地で苦戦している。