<阪神2-10中日>◇29日◇甲子園

 阪神西岡剛内野手(29)が大敗にも前を向いた。惨敗直後、クラブハウスに入る前に足を止めて「まだ半分以上、試合がある。ここで落ち込む必要はない。落ち込んだらチームは上にいかない。僕ももっとヒットを打たないといけない」と言い切った。

 1番打者らしく、せめてもの意地を見せた。1回、8点を先制された直後の攻撃だ。浜田の外角変化球を的確にたたいて、ライナーで右前に運んだ。肋骨(ろっこつ)骨折などから復帰後、初の安打。「楽になりましたけど、1つ言えるのは、僕は野球をできない時があって、野球のことで悩めるのが幸せだということ」と神妙に話した。

 ロッテ時代に首位打者に輝いた実力者でもブランクに苦しんだ。27日の復帰戦から2試合は微妙なタイミングが狂い、ミスショットが目立った。9打席無安打だったが、ようやく快音を発し、前進した。「これだけ打たれるときもある。(過去)2試合は投手が頑張った。チームが負けるときはかみ合わせ。悲観的にとらえずにやる」。負傷前の3月29日巨人戦以来、3カ月ぶりの安打で、今季初めて甲子園でヒット。確かな両手の感触を糧に、逆襲の先頭に立つ。【酒井俊作】