<阪神2-10中日>◇29日◇甲子園

 本拠地甲子園で勝てないなんて…。阪神はエース能見の大乱調に加え、拙守も加わり大惨敗。連敗は今季ワーストの5に伸びてしまった(1分け挟む)。いずれも甲子園での敗戦で、6月は聖地で2勝8敗1分けと苦戦した上、Bクラス転落に、逆転Vのデッドライン越えを見せられては、虎党もお怒りだ。

 初回KO負けだ。オープニングからの悪夢に虎党の怒号が飛び交った。「ええ加減にせえ!」「やる気ないなら帰れ!」。開始8球で先制され、9球目に3ラン。20分もの1回表が終わると、スコアボードには「8」があった。強烈すぎる先制パンチに少年少女もあぜん。6月最後の日曜日、指揮官も満員のスタンドにざんげするしかない。

 和田監督

 甲子園でやってはいけない試合。週末で昨日今日とこれだけ入ってもらって、こんな試合して大変申し訳ない。

 エース能見がおかしかった。カバーすべき野手が、さらに足を引っ張った。1回、4点を奪われてさらに無死一、二塁で中日藤井のバントをゴメスがポロリ。5点差となった2死二、三塁では、大島のライナーが上本の股間を抜けていった。2回に弱いゴロをはじいた上本は9回にも正面のゴロをトンネル。本拠地で4失策の惨状を繰り広げた。

 毎度いただく先制パンチだ。27日の引き分けを挟んで今季ワーストの5連敗となった。勝てない6試合は、全て先制されている。中でもリーグ戦再開で「簡単に考えていない」と意気込んだ中日戦は、3試合連続で初回失点。期間中1試合平均1得点の梅雨入り打線では、ビハインドのスタートをはね返すのは厳しい。

 和田監督

 何とか目指すところに対して強い気持ちを持っていかないと。絶対にズルズルいったらアカン。この流れを何とか打破してね。もう1回、4月の頃の野球ができるように…。

 首位巨人とは7ゲーム差となった。逆転Vのデッドラインをあっさり割り、中日にまくられて4位へ転落。借金は今季最大タイの「2」となった。指揮官が残像を追う4月は甲子園で10連勝したが、6月は2勝8敗1分け。これでは90周年の聖地も泣く。「1日1日やっていくしかない」。口もとを引き締めた和田監督は、最後に言い直した。「やっていくしかないというか、やっていきます!」。ツキは変わる。7月こそ、熱くなれ。【近間康隆】