広島2年目練習生のダニロ・デヘスス投手(27)が4日、また緒方孝市監督(45)のハートをわしづかみにした。秋季日南キャンプ4日目。初登板のフリー打撃で196センチ、98キロ右腕がバットを2本へし折るなど打者を圧倒した。緒方監督は新体制初陣となる9日西武との練習試合(南郷)での中継ぎデビューを決定。投手版ロサリオの誕生を期待した。

 威力ある真っすぐに、鈴木将と中村憲のバットがバキッと折れた。ロサリオもバットに当てるのが精いっぱいだ。緒方カープの秘密兵器、怪人ドミニカンが頼もしくベールを脱いだ。キャンプ初のフリー打撃登板。2年目練習生のデヘススが、強烈な存在感を示した。

 デヘスス

 自分でもかなりよかったと思う。前の防護ネットが邪魔で80%の力だったけど、なければもっとスゴイ球を投げてたよ。

 最速156キロ。この日は「2割引き」と不敵に笑ったが、196センチ、98キロの右腕が繰り出す角度は打者にとっても脅威だ。高橋、土生、鈴木将、中村憲、ロサリオ相手に84球を投げ、安打性は9本だけ。初日のブルペンから絶賛していた鯉の将もまた評価を上げた。

 緒方監督

 やっぱり今日も目についたね。6割ぐらいの力で、あの球威と制球力。中継ぎで1イニングなら面白いんじゃないかと、投手コーチとも話したよ。

 可能性を見いだしたのはセットアッパーだ。となれば早く実戦で見たい。キャンプ中の9日に緒方監督初陣の西武戦が控えるが、電撃協議で救援デビューを決めた。身分は練習生だがドラフト1位森らを斬れば育成契約、さらには支配下登録への道がグッと開ける。

 緒方監督

 試合で頑張れば、ロサリオみたいになれる可能性はある。投手版ロサリオになってほしいね。

 昨年デヘススと一緒に練習生として来日したロサリオは、秋のキャンプで猛アピール。育成契約を飛ばして一気に支配下登録を勝ち取り、今季の大活躍につなげた。デヘススはその間、四国IL高知に派遣され、先発、救援42試合で3勝3敗12セーブ、防御率2・06をマーク。下積みを重ねた27歳が、いよいよブレークの時を迎えようとしている。投手版ロサリオが誕生すれば24年ぶり優勝への視界が開ける。【松井清員】