さあ、二塁バトル開戦や!!

 右肘手術から完全復活を目指す阪神西岡剛内野手(30)が今日15日、沖縄・宜野座キャンプの紅白戦で今季初実戦に臨む。二塁レギュラーにこだわり、体重を約7キロ減らすなど、不退転の決意でキャンプに入った。昨季スタメンを張った上本博紀内野手(28)との一騎打ちがいよいよゴング。ファン注目、チームの布陣も左右する決戦が幕を開ける。

 野球人生のプライドをかけた戦いを前に14日、西岡は肩の力が抜けて、実に自然体だった。オフに二塁の定位置を奪うと宣言。かなわなければ補欠を覚悟する。目の前には昨季、レギュラーを張った強敵上本がいる。開戦は間近。それでも、宜野座球場からの引き揚げ際、ニヤリと言う。「明日、紅白戦なの?

 知らなかった!」。この余裕こそが、充実度の表れだろう。

 昨季の苦闘と決別する戦いでもある。開幕直後、守備中に福留と激突し、肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷で長期離脱した。秋の日本シリーズは自らの守備妨害で終戦し、責任を背負い込んだ。11月には右肘にメス…。もう悪夢はいらない。前だけを向いて一騎打ちに臨む。

 「どこまでできるか、どうなるか分からない。やっぱり、いい形で打てるとかが第一優先になるけど、結果もそれにともなえば、気分はいい。アピールしないといけない立場ですから」

 1月は西宮と米ハワイで自主トレを行い、徹底的に追い込んだ。7キロ近く体重を落としてキャンプイン。シャープな肉体に不退転の決意が表れていた。もう準備は万全だろう。この日も通常メニュー前に二塁の早出特守で汗を流した。一方のライバル上本は、日が傾いた夕方に特守を行った。時間を隔てて、定位置を巡る争いは静かに火花を散らしていた。

 今日15日からは違う。結果だけがレギュラー奪取の判断材料になる。和田監督も「剛がどこまで仕上がっているか。セカンドで勝負すると言って、キャンプに入ってきている。初日から今までと違う意気込みを見せてやっている。それが明日のプレーに出ると思う。新人以外、昨年と同じメンバーで戦う。どうやって、レベルアップするか。チームの競争が一番」と期待する。西岡の復調こそ“補強”の1つだろう。

 キャンプイン早々、ルーキー江越ら若手と同組での練習メニューをこなし、こう言った。「そこから、はい上がれということ。ルーキーと一緒というところじゃないですか」。手術明けにもかかわらず、不安を一掃する調整ぶりだ。再び、のし上がる気概を白球にぶつける。【酒井俊作】<西岡の右肘手術からの経緯>

 ◆14年11月11日

 右肘の遊離軟骨除去手術。

 ◆同12月23日

 甲子園室内練習場で打撃練習とキャッチボールを再開。

 ◆15年1月7日

 西宮市内での自主トレを公開し、キャッチボールを披露。「二遊間で勝負して試合に出られないなら、控えでもいいくらい」と意思表明。

 ◆同20日

 米ハワイでの第2次自主トレに出発。トレーナーのケビン山崎氏が推薦する管理栄養士が同行。

 ◆同30日

 ハワイから帰国。和田監督の2・15紅白戦起用プランを聞き「明日から試合に出られる」。

 ◆同31日

 決死のダイエットでスーツはぶかぶか。右の手の平に血まめをつくりキャンプ地入り。「自分自身、己に勝つをテーマにキャンプをやりたい」。

 ◆2月1日

 キャンプ初日、ライバル上本とともに二塁に入り、遜色ない送球を披露。

 ◆同7日

 掛布DCが、西岡の復調を心待ち。「西岡が西岡の野球と思うものとのズレがあるんじゃないかな」と指摘。