<東都大学野球:亜大6-0日大>◇第3週初日◇18日◇神宮

 巨くんが江川を超えた。亜大・東浜巨投手(4年=沖縄尚学)が日大を3安打完封。通算18度目の完封は自らのリーグ記録を更新し、江川卓(法大)の持つ東京6大学記録の17完封を抜いた。直球の球速はほとんどが130キロ台と控えめだったが、初球からスローカーブやスライダーを交える投球術で今季初勝利を挙げた。

 東浜は完封勝利にも浮かない表情を見せた。「いろんな人に助けられた。相手にも。今日は実力じゃない感じ。調子は戻ってない。ボールがばらついて。自分自身が崖っぷちに立っている」と、まるで敗戦投手のような言葉を並べた。最速は144キロだったが全球をセットポジションで投げ、140キロ台は全124球のうち4球だけ。スライダー、ツーシーム、スローカーブなど多彩な変化球で打たせて取ったが、全開でないのは痛感していた。

 昨秋痛めた右肘の影響で、オフは調整が遅れた。本来は投げ込んで調子を上げていくタイプだが、6回3失点で降板した開幕の駒大戦まで投球練習を100球前後に抑えてきた。前週は試合がなかったため、ようやく3~4日間連続で200球を超える投げ込みを始めたばかり。生田勉監督(45)は「今回だめなら九里と入れ替える」と内容次第で1、2戦目の先発交代を通告していた。完封という結果に「これでいい感じをつかんでくれれば」とエースの復調を期待した。

 東浜はイニングの合間にもブルペンに行き、頭が打者側に突っ込みがちになるフォーム修正に余念がなかった。「勝ちへの執念が18完封になっている。実力あるものがエース。肘の違和感はもうない。いろんなものを背負っている。みんなの鑑(かがみ)にならないといけない」と責任感いっぱいの主将。直球が勢いを取り戻した時、今秋ドラフトの目玉右腕は本領を発揮しそうだ。【斎藤直樹】