<南東北大学野球:東日本国際大7-1石巻専修大>◇第5週最終日◇19日◇福島・平野球場

 東日本国際大が石巻専修大を下して3季連続22度目の優勝を果たし、4年連続9度目の全日本大学選手権出場を決めた。4番薗部優也捕手(4年=宮城・東北)が1回に先制打を放つなど、4打数2安打2打点。主将となって「チームのために」と考えるようになった男が大車輪の活躍をした。

 頼れる男の一振りで勢いに乗った東日本国際大が、22度目の優勝を果たした。1回2死二塁。4番薗部が左前適時打を放つと、打線に火が付いた。8回まで毎回の先発全員安打。最後は自ら、“打ち納め”となるチーム12本目の適時打を放ってトドメを刺した。「何としてもランナーをかえすつもりだった」と笑顔で振り返った。

 首位打者に過去3度輝いた能力に、さらなる磨きをかけてきた。冬場は1日1000スイングがノルマ。3月の強化期間には、午前6時半から午後5時までの猛練習で2000スイングを数えた。今春はリーグ断トツの13打点と勝負強さを発揮し、打率4割4分8厘で4季連続の首位打者を視界にとらえる。仁藤雅之監督(33)は「先に点を取れて、薗部がうまくリードしてくれた。相手が直球待ちのところ変化球を使えていた」と攻守で絶大な信頼を置く。

 2年春から正捕手で「チームへのこだわりがなかった」男は、主将となって変わった。左膝を痛めて離脱していた昨年11月のある日。打撃練習で何もできず「どうしたらいいか分からない」と、天野勝仁コーチ(23)の元へ駆け寄った。

 天野コーチ

 ブワーッと泣きながら来て。1000本振ってるみんなに「やれ」と言わなきゃいけないけど「お前はやってないのに」と思われてしまう。もがき苦しんでいたけど、彼は成長した。

 薗部は、大声で仲間を鼓舞してトスを上げた。それが、チームのためにできる最大限のことだと思ったから。仁藤監督は言う。「自己中心的なところもあったけど、チームのために、となってきた。(周りも)『あいつのために』という雰囲気になってきた」。薗部を先頭に、目標の日本一を取りに行く。【今井恵太】