プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月28日付紙面を振り返ります。2009年の1面(東京版)はサムライジャパン、サイン解禁で打倒韓国と報じています。

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 サムライジャパン、打倒韓国へ本番モード!3月5日開幕のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表チームが27日、本番会場となる東京ドームで公式練習を行った。これまでの実戦で原辰徳監督(50)はノーサインだったが、今日28日の西武との強化試合(東京ドーム)から、サインを出して機動力野球を展開する方針。イチロー外野手(35=マリナーズ)を3番に固定したオーダーで、最大のライバルとなる韓国の左腕エース金広鉉(20=キム・ガンヒョン)柳賢振(21=リュ・ヒョンジン)攻略の秘策を実践する。

 サムライジャパンが、いよいよ本番を意識した戦いに突入する。この日、本番会場の東京ドームで約2時間のナイター練習を終えた原監督の表情は、いつになく引き締まっていた。「これから積み上げるもの、つくるもの、時間というものを無駄に終わらせず、時をしっかり使ってチームをより強い状態で進めていきたい」と強調した。

 練習前のミーティングではサインプレーの確認が行われた。ここまでの実戦で原監督は選手の自主性に任せサインを封印したが、伊東総合コーチが「本戦になれば簡単に点をとれないから、点をとれるように細かい動きに入っていく。足の速い選手は、どんどん走らせるような形をとっていきたい」と説明。サインを駆使した機動力野球を展開していくが、そこには最大のライバル韓国を意識した要素を秘めらている。

 この日、選手全員に対戦国の映像を集めたDVDが配布された。宿舎ホテル内には2フロアからなる資料室が設置され、個人で24時間いつでもチェックできる態勢が整ったが、特にシドニー五輪、第1回WBC、北京五輪と3大会で1勝6敗と大きく負け越している韓国対策は最重要課題。日本戦先発が予想される韓国の左腕エース2枚看板の攻略がポイントとなる。

 打線について、伊東コーチが「オーストラリア戦と同じになる」と、イチローを3番に固定。この日の練習の合間に原監督、篠塚打撃コーチらと話し合い、打順の確認が行われたもようだ。青木、中島の1、2番、3番イチロー、4番稲葉の布陣は、それぞれ機動力があって、序盤からかき回すことができる。

 金の最大の武器は、右打者の内角に切れ込んでくるスライダー。このボールに対しては、右打者よりも左打者の方がファウルでカットできるなど、有利に立てるという情報もある。左打者6人を並べるオーダーは、金を意識したものともいえる。北京五輪では青木が6打数3安打、5割と打った実績がある。

 190センチの長身で韓国の国内リーグ戦でも、盗塁やエンドラン、セーフティーバントなどで揺さぶられた際には、制球を乱す弱点を露呈。同じく98キロという巨漢、柳も同じような傾向があるという。今日28日の西武戦、3月1日の巨人との強化試合(ともに東京ドーム)が実戦の最終調整。ここまでは戦術、戦略を隠してきた原監督が、いよいよ韓国を意識したタクトを振るう。

※記録と表記は当時のもの