この夏はノンビリ過ごした。世界戦は赤穂がタイで挑戦した1試合だけ。国内は5月から1試合もなく、日本タイトルなども例年より少なかった。年末興行中心に動く日程が最大の要因。年に3、4試合が平均という競技の特異性。アマ経験者の選手は増加傾向だが、全体は減少で試合が組めない状況もあるようだ。

 この反動で、9月下旬からは世界戦が休みなく続きそうだ。22日の山中のV9戦を皮切りに、井岡、高山、河野、三浦の防衛戦が決まった。そうした中で、最近の傾向である海外での試合がいくつかある。

 中でも日本人対決が異例の米シカゴとなった。河野のV2戦で、亀田興が4階級制覇をかけて挑む。現地の観客はどう思うのだろうか。亀田兄弟が国内から締め出されたためだがもったいない。6日に亀田和が再戦で王座奪回ならず、3兄弟の商品価値は下がる一方。それでも国内で開催していれば、一般ファンからは一番に注目されただろう。

 この一戦は昨年からWBA指令され、ようやく実現することになった。2人は好対照とも言える。カメの河野にウサギの亀田だ。河野は34歳、亀田は28歳と6歳の開きがあるが、実は同じ頃にボクシングを始めた。河野は高3でワタナベジムに入門し、亀田は小6で父史郎氏からボクシングを教わり始めた。

 その後の歩みはスピードが違った。河野は00年プロデビューも黒星スタートで、亀田は中3で井岡弘樹とエキシビションとすでに注目だった。プロ入り後は亀田が05年に東洋太平洋王者、06年には世界王者になった。河野は07年にようやく日本王者となり、世界をとったのは12年の3度目の挑戦だった。

 河野の世界戦発表でも亀田が先制パンチを浴びせた。会見途中に乗り込んで得意のメンチ切りに言いたい放題だった。主催者、テレビ局は否定も、やらせ疑惑が出た。河野は「知らなかった」とあぜん。やり過ぎは考えものも、たまにはこういうのもいい。話題になってなんぼが、プロスポーツの世界でもある。

 昨年は「今なら河野」と見られた。いざ試合が決まると、河野はサウスポーが苦手で初の海外のハンディがある。河野がじわじわと攻め、亀田が足を使ってかわす展開が予想される。さて、この「ボクシング版イソップ寓話」の結末や、いかに。【河合香】