4日に行われた新日本プロレスの東京ドーム大会は、会場の雰囲気、派手な演出、試合内容ともに世界最大の米プロレス団体WWEに勝るとも劣らないものだった。特に、セミファイナルのIWGPインターコンチネンタル選手権試合、内藤哲也(34)と棚橋弘至(40)の試合前の演出は鳥肌が立った。

 入場前に、両レスラーの因縁、試合にかけるコメントが流され、会場を盛り上げる。棚橋は今回から採用した新しい入場曲にこの試合に対する決意を込めた。エース復権へファンの手も借りたいとばかりに、盛んに両手を挙げて会場をあおる。しかし、昨年、一大ムーブメントを巻き起こした内藤の入場曲がかかると、会場に爆発が起きたように歓声が挙がった。

 試合も素晴らしかったが、メインのオカダ・カズチカ-ケニー・オメガの死闘は、壮絶さという部分で内藤-棚橋戦を上回った。たぐいまれな身体能力を誇る両者の、果てしない肉弾戦。46分45秒の戦いは、見る者を引き込んだ。勝利したオカダ、負けたオメガ。2人のレスラーが紡ぎ出したプロレスは、新日本の底力を、世界に示したといえる。

 この大会の前日、木谷高明オーナーにインタビューした。木谷氏は、昨年1月にWWEに主力選手を引き抜かれたことに怒っていた。そして、今年7月にロサンゼルスで興行を行うことを話してくれた。「やられっぱなしじゃ悔しいじゃないですか。米国に本格的に進出します」。その翌日の東京ドーム大会は、まさに木谷オーナーの米国進出の決意を表現しているようだった。

 売り上げでは20倍以上の巨人「WWE」に、新日本が戦いを挑む。しかし、経営規模は違っても、東京ドームで見せた11試合は、どれをとってもWWEにひけを取らない内容だった。「新日本を背負って戦っている」というオカダは、まさに米国進出に打って出る新日本の顔であることを証明した。

 オカダに加え、オメガ、内藤、棚橋。昨年の1・4東京ドームを彩ったオカダ、棚橋、中邑真輔、AJスタイルズからメンバーは2人入れ替わったが、遜色ないどころか、よりすごみを増した新四天王が生まれた。「オメガと内藤は、地位が人をつくるという感じですね」と木谷オーナーもうれしそうに話した。実力のあるレスラーが次々にブレークしていく勢いが、今の新日本にはある。今年、どんな選手が内藤やオメガのようにブレークするか、楽しみは尽きない。【プロレス担当=桝田朗】