稀勢の里を叱咤(しった)激励してきた“知将”が大阪にいる。関学大アメリカンフットボール部を9度の大学日本一に導いた鳥内秀晃監督(57)だ。

 知り合ったのは、アメフット好きの稀勢の里が13年1月、日本選手権ライスボウルで解説を務めた後だった。大阪市内でうどん製麺業を営む鳥内監督は、春場所前には田子ノ浦部屋を訪れ、うどん100人前を差し入れる。同時に“喝”も入れる。「どんな男になりたいんや!」といつも学生を奮い立たせている同監督は、大関にも本音でぶつかる。迷いがありそうな時は「考え過ぎるな」とはっきり言う。稀勢の里も同監督を慕い、関学大グラウンドでパス練習したり、居酒屋で語り合うこともある。

 24日、稀勢の里は手痛い2敗目を喫した。だが、観戦した鳥内監督は「ようやく人の意見を聞くようになったんちゃうかな。琴奨菊の優勝で変わったんちゃうか」と見る。稀勢の里に紹介した大阪の整体師が1月に急死したが、大関は律義に場所前に花を供えに出向いたという。「義理堅い男なんや」と同監督も大関にほれている。残りは3日。終了間際の逆転タッチダウンのような劇的ドラマを、アメフット界の知将も期待している。【木村有三】