<プロボクシング:WBCフライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇バンコク

 同級15位の向井寛史(六島)がチャンピオンのポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)に挑んだが、1回47秒、偶然のバッティングによる負傷引き分けでタイトルを奪えなかった。ポンサクレックは6度目の防衛。

 世界初挑戦の向井は開始早々から積極的に攻めたが、頭同士が当たった際に右目上を切り、レフェリーが試合を止めた。WBCミニマム級王者の井岡一翔(井岡)に並ぶ日本選手最短のプロ7戦目での世界王座奪取は成らず、戦績は7戦5勝1敗1分けとなった。

 国内ジムに籍を置く日本男子選手の海外世界挑戦は34戦連続で失敗。日本のジムに所属する男子の現役世界王者は史上最多8人のまま。

 思いもよらない幕切れで世界初挑戦が終わった。1回に偶然のバッティングで負傷し、右目上から鮮血が流れ落ち、わずか47秒で夢はついえた。「何しに来たんだよ。腹が立つ」。引き揚げる際、向井は煮え返る思いを吐き出した。

 百戦錬磨のポンサクレックを相手に気後れせず「パンチは速くないし、重くもなかった」と好感触すらあったが、その瞬間はすぐに訪れた。王者が放つワンツーに低い体勢で真っ向から突っ込むと、相手の頭と激しくぶつかった。「いけると思った」という積極性が不運な結末を生んだ。

 今夏に東洋太平洋フライ級王座に挑んで判定負けし、プロ6戦目で初黒星。7戦目で世界王者になる目標も諦めた。そんな中で巡ってきたチャンスだった。

 不完全燃焼の結末に、向井陣営は「やらなければいけないでしょ」と再戦を熱望した。26歳の挑戦者も同じ気持ちを抱きながら、多くを語る間もなく病院へ向かった。