WBC世界バンタム級王者・長谷川穂積(29=真正)が、11度目の防衛戦を目指すことを表明した。27日、都内で行われたボクシングの「2009年度年間優秀選手表彰式」に出席。前年に続いて最優秀選手賞とKO賞の2冠を受賞した。階級を上げるか防衛続行か注目されてきたが、この日「バンタム級でやりたいと思います」と明言した。4月にWBCスーパーバンタム級王者の西岡利晃(帝拳)とダブル防衛戦を行う予定だ。

 表彰式後の会見で、長谷川が「ご報告なんですが…」と自ら切り出した。「まだバンタム級でベストパフォーマンスが見せられていない。バンタム級でやりたいと思います」。V11か、階級を上げての2階級制覇挑戦か、その動向が注目されていた。「毎日、心も気持ちも変わりました」と悩める心境を吐露しつつも「最後に決めるのは自分。納得した形です」と吹っ切れたようにほおを緩めた。

 バンタム級にやり残しがあると感じたことが決め手だった。長谷川は昨年12月に5連続KOで10度目の防衛に成功した。12キロの減量を克服しての偉業にも、減量状態の体脂肪率が7~8%だったことで、余力が残っていると感じた。「自分の調整の仕方を考えたときに、ベストでやっていないな、と。5%まで減らせます。栄養面についても話し合っています。妻も協力してくれると言っています。調整法を変えてどういうパフォーマンスができるか試したい」と最高のボクシングを見せるべく、極限の肉体づくりに着手するつもりだ。

 元WBAライトフライ級王者の具志堅用高氏が持つ13回連続防衛記録の更新については、「14防衛が通過点として見えるかもしれないし、最高の状態にしても限界かもしれない」と明言はしなかった。「まだバンタム級でも強いやつがいる。ほんまの最強を証明してからでも(転級は)遅くない」。4月に予定される西岡とのダブル世界戦に向け、長谷川の腹は決まった。【浜本卓也】