平成版“炎の男”になる!

 4月30日の11度目の防衛戦で4回TKO負けし、WBC世界バンタム級王座から陥落した長谷川穂積(29=真正)が20日、神戸市内で再起会見を行い、新王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)へのリベンジをあらためて誓った。山下正人会長は「ダイレクトで挑戦したい」と調整試合を挟まず、次戦で再戦させたい意向。敗戦からダイレクトでの挑戦にはリスクも伴うが、強い覚悟で王座奪回を目指す。

 陥落直後の再起戦で、敗れた相手からベルトを奪い返した国内選手は過去2人しかいない。日本人で成功したのは昭和40~50年代に活躍し「炎の男」と呼ばれた輪島功一だけだ。長谷川の場合は敵地開催の可能性もあり、山下会長は現状を「がけっぷち」と表した。ただファイトスタイルは変えない。同会長は「微調整すれば大丈夫」と強気だ。

 試合中に骨折した右あごは入院、手術を経て順調に回復。「違和感はない。食事も普通にできている」と長谷川。固定のために埋めた2枚のプレートの除去は「半年後くらい」といい、試合日程が重なれば、そのままリングに上がるという。本格的な練習再開は6月末予定だが、すでに子どもと一緒に早朝の軽いランニングを始めている。

 静養中には数十通届いたファンレターに1通ずつ目を通し、モチベーションに変えた。あえて減量の厳しいバンタム級での復帰に「負けたまま終われる性格じゃない。試合で失ったのはベルトだけ。すぐ返してもらう」。熱いハートを携え、いばらの道を突き進む。【大池和幸】