僕は、世界王者なんです!!

 WBC世界スーパーフライ級新王者の佐藤洋太(27=協栄)が“不審者扱い”され、反骨心をむき出しにした。世界戦初挑戦で王座を獲得したスリヤン・ソールンビサイ(タイ)戦から一夜明けた28日午前、記者会見を開くため都内の所属ジムに向かう際、西武新宿線駅付近で突然、2人の警察官に呼び止められて職務質問されたという。

 金髪にジャージー、大型のリュックを背負っていた。前夜にパンチを浴びて顔面が腫れ、皮膚が破れた足を引きずって歩く姿が目にとまったのか「パトカーが近くに止まったと思ったら、大勢の人が歩いている中で、一直線に僕のところへ来たんです」。折悪く、趣味のスケートボードを修理するスパナなど工具類がリュックに入ったまま。ためらいを振り切って「僕は昨日、ボクシングの世界王者になったんです」と告白したが「ふ~ん。あ、そう」と流され、クレジットカードまで調べられた。

 ボクサーは試合前の減量で視線が鋭くなり、試合後はダメージが顔に残る。過去50回ほど職質を受けていた佐藤だが、大願成就を果たした翌日だけにショック。「悔しいです。反骨精神を持ってやります。話題になるような試合をして、最強を表現できる王者になります」と誓った。

 初防衛戦は指名挑戦者となる可能性が高いが、金平桂一郎会長は「皆さんが期待するような名前も考えてます」。佐藤の知名度アップへ、4階級制覇を狙うWBA世界バンタム級王者の亀田興毅や大毅(ともに亀田)、WBA休養王者・清水智信(金子)らとの日本人ビッグマッチも視野に入れるつもりだ。【山下健二郎】

 ◆佐藤洋太(さとう・ようた)1984年(昭59)4月1日生まれ、岩手県盛岡市出身。盛岡南高3年時に国体3位、総体5位。04年2月プロデビュー。10年9月に日本スーパーフライ級正規王者となり5度防衛。プロ通算24勝(12KO)2敗1分け。171センチ。