WBA世界フライ級王者亀田大毅(21=東日本協会)が、初防衛戦で究極の選択を迫られた。WBAは19日、対戦を義務づけたにもかかわらず実現のメドが立っていない大毅-同級7位坂田健史(30=協栄)戦を29日(日本時間30日)に米ラスベガスで入札すると発表した。亀田側は以前に所属した協栄とファイトマネーなどの支払いを巡り係争中であることを理由に対戦を拒否してきたが、入札後は90日以内に試合が義務づけられる。対戦を拒否すれば王座をはく奪されるため、大毅は敵対する協栄ジム所属の坂田の挑戦を受けざるを得ない状況に追い込まれた。

 こうちゃく状態だった大毅-坂田戦が突然、実現に向けて動き始めた。WBAが入札を正式発表したことで、両者の対戦があらためて指示された格好となった。日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内事務局長は「これは基本的に拒めない。東日本協会を交えて両陣営で話していただきたい」と語った。

 もともとWBAは2月7日の同級王座戦デンカオセーン(タイ)-大毅の勝者に、坂田との対戦を義務づけていた。だが亀田プロモーションは、大毅と興毅がかつて所属した協栄ジムと、計約1億円のファイトマネー支払いなどを求めて係争中。父史郎氏は対戦を義務づける文章は拘束力がないことをWBAに確認したと強調し「坂田とは何があってもない。地球が爆発してもない」と話すなど、実現は困難に思われていた。JBCが仲介に入っていたが、史郎氏の「どう喝問題」以降はWBAに一任していた。

 WBAの発表を受けて、協栄ジムの金平会長はこの日、入札参加の意思を表明した。「ようやく進んだというのはうれしい。ここまで来たら落札したい」と意欲を見せた。一方、大毅が所属する亀田ジムは現在無期限の活動停止中。大毅を預かる東日本協会の北沢事務局長は「(同協会の)大橋会長と両陣営と協議していく。日にちがないので急ぎの話になるでしょう」とだけ話すにとどめた。

 3度目の世界挑戦で夢の世界ベルトをようやく手にした大毅は、かつて「フライ級で防衛していきたい気持ちはある。世界王者やから」と王者の自覚を口にしていた。それだけに王座返上の可能性は低く、坂田との初防衛戦を受け入れるとみられる。坂田と戦うか、王座を失うか-。決断の時まで、与えられた時間は少ない。【浜本卓也】