2連覇と史上9人目の新大関優勝を狙う照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が、過去2戦2敗だった東前頭3枚目勢(28)相手に貫禄を見せて寄り切りで下した。右肘の負傷のため休場した兄弟子の横綱日馬富士(31)の分まで、土俵を沸かせる決意。

 前日とは打って変わって、圧巻の相撲で苦手を退けた。照ノ富士は立ち合いで左前みつを取ると、一気に踏み込み、土俵際で粘る勢をがぶり寄りで一蹴。「それ(前みつ)を狙ったので、落ち着いて前に出られた」。初日に感じた土俵の滑りも、足の裏をぬらして対策。自己採点は「99・9点!」と、会心の相撲に納得した。

 初日に右肘を負傷した日馬富士は昼すぎに休場を発表。照ノ富士が知ったのは会場に向かう車の中だった。夏場所千秋楽、結びの一番。初優勝をアシストした兄弟子の雄姿が、脳裏をかすめた。援護はもう受けられない。日馬富士からは「また騒がせてほしい」と、快進撃の再現を期待されている。「その分みんなが頑張れば、横綱も喜ぶんじゃないですか。みんなで頑張るしかない」。史上9人目の新大関優勝へ、決意を固めた。

 過去の新大関の連勝は11。平幕下位だった昨年春、夏場所に2連敗した勢戦は「試すにはいい相手」だった。8秒1で料理し成長を見せつけた。「早く攻めること」という0・1点が加われば、その勢いは誰にも止められない。【桑原亮】