3場所ぶりに復帰した横綱鶴竜(29=井筒)が、危なげなく初日から3連勝した。東前頭2枚目の高安(25)の投げにも、どっしり構えて動じずに押し出し。大型タイヤに約10キロのハンマーを打ち下ろすトレーニングの成果で、厳しい攻めを見せた。

 どっしり構えた下半身。鶴竜の体幹は、まるでぶれなかった。右すくい投げをかわした瞬間、体勢が崩れた高安に対して、瞬時に攻めに転じた。頭をつけて体を押す。その両腕は、相手を大型タイヤに見立てていた。力を込めて一直線。「しっかり体が動いた。常に、自分で動いて動いてできました」。3場所ぶりのブランクを感じさせない相撲で、白星を3つ並べた。

 愛知・東浦町の井筒部屋宿舎。今年から、大型トラックとRV車用のタイヤの2つが置かれた。横綱が購入した。ボクサーがパンチ力強化のために、タイヤにハンマーを打ち下ろす練習を目にした。相撲も、相手に突きを見舞う。テッポウ柱や壁にはない弾力は、人の体にも似る。「相撲にも通じるんじゃないか」。

 利き腕の右だけではない。痛めていた左肩も使い、交互に打ち下ろした。「なるべく同じ感じで、バランス良く」。約10キロのハンマーは振り上げただけで後方に持っていかれそうになる。下半身を据える強化にもつながった。練習後は宿舎にあるリングで、大好きなバスケットボールで心身をほぐす。ただ「ドリブルも左手だけでしたり。いい運動でした」。勝負の場所へ、できることをして臨んでいた。

 ムンフザヤ夫人と1カ月半の長女アニルランちゃんは今、モンゴルにいる。電波が悪く、テレビ電話はできない。ただ毎日、写真や動画を送ってもらう。「少し身長も伸びたみたい」。鶴竜も、まだまだ伸びる。【今村健人】