元関脇豊ノ島の井筒親方(39)が6月4日、自伝本の「七転び八起き 豊ノ島自伝」(ベースボール・マガジン社、1980円(税込))を出版する。

幼い頃にてんかんを患いながら相撲への情熱を燃やし続け稽古に励んだ幼少期から、小さな体でもあきらめずに困難に立ち向かった18年間の現役生活に至るまで、しのぎを削ったライバルたちの証言を交え、波瀾(はらん)万丈の相撲人生を1冊にまとめた。

高知・宿毛高から02年初場所で初土俵を踏み、04年夏場所で体の小さな入門希望者を対象とした第2新弟子検査合格者では初の新十両に上がった。身長170センチ前後と小柄ながら、持ち前の体の柔らかさや、天才的な差し身のうまさを武器にして三役を13場所務め、三賞10回、金星4個。幕内優勝こそなかったが、10年九州場所では14勝1敗として白鵬と優勝決定戦を戦った。

16年名古屋場所前に左アキレス腱(けん)断裂の重傷を負って幕内から幕下に転落したが、19年春場所に再入幕。翌20年4月に18年間にわたる現役生活に幕を閉じた。今月28日には東京・両国国技館で引退相撲を開催される。

今回出版される本は232ページに及び、てんかんを患い母に反対されながらも父子とともに相撲道場に通った日々を紹介している。現役生活についてはライバルたちと修練しながら関脇の座をつかんだ話をはじめ、大けがに見舞われながらも復活を果たしたことにも触れた。また、元横綱白鵬の間垣親方や元横綱稀勢の里の二所ノ関親方らが語る「もう一人の豊ノ島」も収録している。

自伝本の刊行に当たり、井筒親方は「この本ができあがり、改めて感じています。満足な18年の相撲人生でした。そして、人に恵まれた相撲人生でした。多くの方に読んでいただけたらうれしいです」とコメントを寄せた。