女子高生4人のひと夏をドキュメンタリーのように撮った快作だ。

 北九州の片田舎に住む4人はロックバンド「クリープハイプ」の大ファン。福岡ライブの出待ちで「東京のライブにもぜひ」と言われたことを真に受け、自転車で東京行きを思い立つ。

 海辺ではしゃぎ、野宿でガールズトークが盛り上がる。クリープハイプへの思いの濃淡、ロックな子と実は家庭ありきの子…。しだいに個性が立ってくる。

 無謀な1000キロの旅が容易なわけがなく、足は限界。自転車を捨て、ヒッチハイクに切り替える。疲れれば心もささくれる。互いに言ってはいけないことを言い、声が裏返る。ウワッとなるリアルさだ。「アフロ田中」で知られる松居大悟監督の演出は生々しい。

 一方で、資金調達のキャバクラバイトで美醜のランク付けをされても、見下し感や劣等感より、むしろ互いに「個性」と認め合う。何なんだ。この妙なすがすがしさは。

 4人は撮影当時、現役高校生。三浦透子以外の井上苑子、大関れいか、真山朔は、ほぼ演技未経験。だからこそ、か。演技はみずみずしく、時として突き抜ける。次が楽しみな人たちだ。【相原斎】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)