伝説的な珍番組、水曜スペシャル「川口浩探検隊」のパロディー作品。看板ドラマを打ち切られた俳優杉崎(藤原竜也)が新境地を求め、探検ドキュメンタリーの隊長に挑んだ。ところが、ぬいぐるみのワニと格闘させられるなどインチキまみれ。探検隊メンバーも一癖ある面々ばかりだが、旅を進めていくうち、杉崎は持ち前のプロ意識で作品作りにのめり込んでいく。

 短い撮影期間の中、本読みを2日も行い、劇中のカマキリまでオーディションで選んだという。ロケ地、セットなど全てにチープさを漂わせながら、ただの安っぽい映画になっていないのは、繊細な作り込み具合があってこそだ。

 チープさと役者陣の熱演のギャップもいい。シリアスな作品が多かった藤原は、暑苦しい三枚目という新たな一面を見せた。怪しげな通訳役のななめ45°岡安章介は、本やセリフだけでなく、演技のコミカルさで笑わせる。ほぼ映画初出演だが、今後は出演依頼が殺到するだろう。

 今なぜこの作品? という疑問はあるが、「川口浩」世代以外にも笑える、くだらない作品(褒め言葉)。本気でバカをやるって、楽しい。【森本隆】

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